2013 Fiscal Year Research-status Report
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24530037
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
中山 茂樹 京都産業大学, 法務研究科, 教授 (00320250)
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Keywords | 憲法 / 学問の自由 / 臨床研究 / 生命倫理 / 倫理審査 |
Research Abstract |
現在の日本に見られる研究倫理審査の制度について、次のような知見を得た。 薬事法に基づくGCP省令が定める治験審査委員会の審査制度は、職業の自由の規制である医薬品の流通の規制に依拠しており、法的意義を有するのはその限りである。/薬事法の流通規制の枠組みに乗らない一般的な臨床研究は、法的拘束力のない行政倫理指針で事実上の「規制」がおこなわれている。/クローン技術規制法に基づく特定胚指針が定める倫理審査委員会の審査制度は、研究による獲得情報の内容に着目した審査をおこなうものであるが、法律は研究の情報内容に着目した規制を許すものではないのではないかとの疑問がある。 また、研究倫理審査制度と憲法上の学問の自由との関係については、次のような知見を得た。 臨床研究の倫理審査制度について、憲法上の学問の自由の保障との関係でとくに問題があるものとして考察すべき審査内容の要素は、具体的な研究の情報的価値の評価によって研究実施の可否を決めるリスク・ベネフィット評価であると考えられる。/個別の研究の情報的価値を評価して研究実施の可否を決める研究倫理審査制度は、法的に設けられるとすれば、憲法で保障された研究の自由に対する<内容規制>であり、厳格な司法審査に服するが、人の生命・身体等の保護と研究の自由との最も適切なバランスを図った必要不可欠な手段として憲法上許容されることがありうる。/法的な研究倫理審査制度における具体的な研究の情報的価値についての審査は、学問の自律性を尊重した手続・組織により行われることが法律により確保される必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現行の研究倫理審査制度の分析をふまえて、研究倫理審査制度が憲法上の学問の自由の保障の観点から許容される条件を考察しており、本研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」が成立し、これには研究倫理審査の定めが含まれることから、この法律の内容を公法学的に分析していくことに資源を投入することも、本研究をさらに推進する方策として検討したい。
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Research Products
(2 results)