2014 Fiscal Year Annual Research Report
リスク移転に伴う法人課税上の諸問題-再保険取引を中心に-
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24530038
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
辻 美枝 関西大学, 商学部, 准教授 (00440917)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際課税 / キャプティブ保険 / 移転価格 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年税制改正により、移転価格税制における第三者介在取引(みなし国外関連取引)の対象範囲が拡大され、再保険取引を含むすべての取引が対象となった。平成26年度は、第三者が介在するキャプティブ保険と国外所得移転に焦点をあて、この改正の影響を分析した。オランダとイギリスではすでにこの問題に対する裁判例が存在しているため、両国を比較対象国として重点的に検討をした。 キャプティブ保険を介した国外所得移転の問題は、第一に支払者側の所得控除可能性(取引の経済的実質)、第二に金額の妥当性(移転価格)にある。現在、OECDはBEPSの行動計画4において、キャプティブその他の保険取決めを含む関連者間金融取引に関する価格についてのOECD移転価格ガイドラインの改訂を行うとしている。 オランダの移転価格税制の法制化は2002年と比較的新しく、わが国と同様、OECD移転価格ガイドラインに則って制度が構築されている。また、2013年11月には、OECD移転価格ガイドラインに対する財務副大臣による指針(IFZ 2013/184M)が公表された。そこで示されたオランダの方針はわが国やイギリスの取り扱いとは異なるものと評価できる。すなわち、オランダでは、基本的にグループ内再保険者によるグループのリスク引受を肯定するものの、再保険者を特徴づける活動を行わず外部へのリスク分散がない場合には、実際の取引を無視し、経済的実質に基づき取引を再構成したうえで、グループ内再保険者の所得を再配賦する。各国間の協調を目的とするOECD移転価格ガイドラインであっても、その国内法への取り込みや解釈が各国で異なると、所得の配賦に関する国際課税上の問題が生じる。今後のOECDの勧告内容を踏まえ、さらに研究を深める予定である。
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Research Products
(5 results)