2013 Fiscal Year Research-status Report
渉外的法律関係の規律手法としての「承認」の総合的研究
Project/Area Number |
24530046
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中西 康 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (50263059)
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Keywords | 外国判決の承認 / 状況の承認 / 人権 / 双方主義 |
Research Abstract |
本年度においては,外国判決という外国での「決定」がない単なる事実関係(状況)についての承認の手法の拡大についての検討に着手した。 具体的には,国際人権法を中心とした人権規範の影響による,外国で成立した身分関係の「承認」の議論について検討を行った。検討にあたっては,欧州人権裁判所の2007年Wagner事件判決および2011年Negrepontis-Giannisis事件判決を主たる検討素材とした。これらの判決に対しては,欧州人権条約8条の家族生活の尊重を受ける権利という国際私法から見ると外部からの要請により,本来ならば法廷地国際私法(広義)により評価がなされるべきところが,その貫徹がなされないという状況にあると評価することができる。 なお,本研究を進めることにより,その関連で得られた派生的な成果として,外国判決の承認と密接に関連する,国際裁判管轄についての平成23年改正による民事訴訟法3条の2以下の規定全体についての概括的検討に関してと,そのうち3条の9を中心とする総論的問題についての個別的検討に関して,論文として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は前半と後半に分けることができ,前半では外国での決定の承認を,後半では外国では決定がなされておらず単なる「状況」にすぎないものの承認を検討するところ,本年度までに検討を終える予定であった前半部分についての検討が必ずしも完了していない。 もっとも,遅れは論文としての成果公表の点の遅れに関するものであり,この点の完成を急ぎたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の推進方策について,大筋では,当初の研究計画から変更すべき事由は生じていない。上述の達成度に示したように,やや遅れがあるが,それは主として成果の公表の点に関するものであり,論文としての完成を急ぎたい。その点を除けば,当初の研究計画に従い,研究計画の3年目に予定していた研究計画後半と全体の仕上げを行う。 ここではEU法と国際人権法の影響が問題となるので,国際私法研究者以外の研究会にも積極的に参加して,これらの法分野における知見を吸収して検討を進める。
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