2013 Fiscal Year Research-status Report
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24530050
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
吾郷 眞一 立命館大学, 法学部, 教授 (50114202)
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Keywords | 国際法 / 国際人権法 / 国際組織法 / 国際行政法 / 国際法の定立 / 国際経済法 |
Research Abstract |
平成25年5月と26年2月『公衆衛生』に発表した2つの論文「国際労働基準の日本での批准状況」および「企業の労働CSR強化の方向性と労使関係の今後の在り方~真に社会的パートナーになりうるためには?」において国際労働基準が日本でどのような社会的役割を担っているかを論じ、26年10月に出版された『法律時報』の「国際社会の機能主義的結合」では、ILO基準を含む機能主義的国際組織による規範設定が有する、国際法立法過程とその拡充にとっての意義を認定することができた。11月にデリーで行われたアジア国際法学会研究大会では、ILO条約が持つ国内労働立法上の意義を、日本の最近の労働判例を例として取り上げて研究発表を行い、様々な視点からのコメントをうけながら国際法秩序の中で果たすILO基準の位置づけを明確にしていくことができた。国際労働法が国際人権法としての実体を持つと同時に、国際行政法の適用としての側面を持つことが明らかになるとともに、従来から言われているILO基準実施監視の準司法的機能が国際法の司法過程としても位置付けられることを明らかにしていくことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際労働法が、国際法秩序の中で独自のレジームを形成していないこと、すなわち国際法全体の立法、行政、司法過程のなかで機能していることを、かなり実証的に明らかにすることができ始めたということができる。 国際人権法の一部としての国際労働法というくくり方ができるのではないか、ということもこの間執筆したいくつかの論文の中で徐々に形を作り始めている。 国際人権法が国際法の一部である、すなわち国際人権法の国際法化ということを語ることができるとすれば、国際労働法もまた国際法秩序の中に位置づけられることがわかってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
かなり明確になってきた結論の中身をさらに拡充することが最終年度に課された課題である。広い意味の国際労働法の中に登場してきた新しい規範(準規範)的存在である企業の社会的責任概念を見極める作業を、国際法協会「企業と人権作業部会」の一員として遂行する中で、国際労働法概念を最終的に国際法体系の中に位置づけることを試みる。8月のアジア国際法学会研究大会などにおいても、その問題意識を提示して諸外国の研究者と意見交換をする。2015年3月までにこの間得られた知見を総合して具体的な成果物の出版を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2014年度早々4月2-10日にワシントンDCで開催の国際法協会研究大会における研究にかかわる旅費を見込んだため、45万8千円程度最終年度に繰り越した形となった。2014年度にはもう一度ジュネーブでの研究が残っているので、その海外旅費を考慮すると予定通りの支出計画となる。 海外出張:4月2-10日ワシントンDC・International Law Association隔年大会における研究8月20-24日ダッカ・アジア国際法学会地域研究大会における研究、12月2-5日ジュネーブ・国連「企業と人権作業部会」における研究旅費 国内出張:4月、5月、9月、10月、国際法協会日本支部研究大会、世界法学会年次大会、国際法学会年次大会、資料収集(東京)など国内研究旅費 その他書籍、文房具など
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