2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530054
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
金 ムンスク 甲南大学, 法学部, 教授 (30368469)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 成年後見 / 国際裁判管轄 / 成年者保護 / 国際私法 |
Research Abstract |
本研究は、成年者の国際的移動、財産等の国際的散在等により、成年後見の国際的保護措置が必要な場合が生じるので、国際的な成年者保護の実務的な観点からその必要性に着目し、関連諸問題を解決するための国際私法的議論を具体的に検討し、解決方法を模索することを目的とする。 先進諸国は、各国の成年後見制度を比較し、立法してきたが、その中心には身上保護がある。成年後見制度の立法傾向はだいたいにおいて、第1・2世代、第3世代に区分する。第1・2世代成年後見制度は行為無能力制度の問題点を認識し、新しい能力概念に立脚して成年後見制度を法制化したものである(ドイツの1990年成年後見法、イギリスの持続的代理権授与法、オストリアの財産管理人法等)。第3世代は成年後見制度は財産管理と身上保護を含め、後見に対する公的な監督を随伴する成年後見制度である(日本の成年後見制度、ドイツの1996年成年後見制度等)。韓国の2011年民法改正では被後見人の身上保護に重点を置いたものであり、身上保護に関して第947条及び第947条の2等を設けることで、障害者の権利に関する条約との整合性を有するように、設計されている。したがって被後見人の財産管理だけでなく、身上保護も包含し、将来に備えてあらかじめ後見契約を締結することができるようになったため、第4世代成年後見法といえよう。 このように先進諸国の実質法における成年者保護制度は、財産管理から身上保護へより中心を置いていることから、国際的な成年者保護制度においても、能力の問題としての本国法主義から身上保護のための常居所地法主義へ傾斜を導くための根拠となりうることを研究した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先進諸国では、高齢者人口の増加、医療の発達、核家族化等の社会的変化によって、本人の自分決定の尊重、財産管理および身上保護を利用しやすいように柔軟で弾力的な成年後見制度を導入・改正してきた。実質法における成年後見制度の身上保護への転換は、成年者保護に関する国際私法の諸問題の解決においても、本国法主義または本国管轄から法廷地法主義または常居所地管轄への傾斜がより重要な意味を有することを示している。 実質法のレベルにおいて第4世代の成年後見制度を導入している韓国の民法改正について、立法経緯や改正内容を調査・検討を行い、実質法における成年後見制度の特徴を明らかにすることができ、本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
実質法のレベルにおける成年後見制度の特徴が、国際私法のレベルにおいて準拠法および国際裁判管轄の分野においてどのように展開されうるかを研究する。 第1に、国際的な成年後見事件の国際裁判管轄に関する立法論について報告を行う予定である。韓国の国際私法学会の定期研究会で、成年後見制度に関する韓国民法の改正についてその特徴を明らかにしたうえで、国際的な成年後見制度に関する国際裁判管轄について検討を行う。 第2に、ハーグ国際私法会議「成年者の国際的保護に関する条約」を考察することで、国際裁判管轄と準拠法の関係についてその関連性を考察する。その際、関連文献・資料を収集・整理するため、ドイツへの研究出張を計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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