2013 Fiscal Year Research-status Report
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24530054
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
金 ムンスク 甲南大学, 法学部, 教授 (30368469)
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Keywords | 成年後見 / 国際裁判管轄 / 準拠法 / 管轄権 |
Research Abstract |
韓国における成年後見制度の国際裁判管轄権に関する立法論を検討した。実質法的レベルにおいて韓国では2011年の民法改正によって成年後見制度が導入された。他方、国際私法第14条は準禁治産(限定)産宣告又は禁治産宣告に関する準拠法と国際裁判管轄として韓国裁判所の例外的管轄について、第48条は後見の準拠法について規定している。実質法の改正が必ずしも国際私法の改正を必要とするわけではないが、実質法的レベルにおける成年者保護という概念を国際私法的レベルにおいても実現されるべくこれに対する検討が必要である。 2000年の「成年者の国際的保護に関するハーグ条約」は渉外性のある場合に限って、成年者の身上保護及び財産管理のための保護措置に関する国際裁判管轄、準拠法及び外国裁判の承認に関して規定している。同条約は基本的に1996年の「父母責任及びこの保護措置に関する管轄権、準拠法、承認、執行及び協力に関するハーグ条約」の構成に倣って作成されているが、その対象者が成年者であることから、未成年者の父母による保護を主に念頭においている1996年未成年保護条約とは異なる規定を設けている。同条約は、成年者の常居所国の管轄、常居所地国から移送される管轄、本国管轄、財産所在地管轄を認めており、準拠法は原則的に自国の実質法を適用する。すなわち、管轄権と準拠法の平行という方法が採用されている。 本年度は、2000年の成年者保護条約及びドイツの家事事件と非訟事件の手続に関する法律を中心に国際裁判管轄について研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各国における成年後見制度は2000年代に入って再改革の動きが活発になっている。これは主に任意後見制度に関する法整備である。この再改革の動きも踏まえ、国際私法上の成年後見制度において国際裁判管轄と準拠法の関連性について研究を推進することができた。従来、成年後見制度は「人の能力」の問題として捉え、本国法主義が原則であるとされており、現在もこれを前提に法の適用に関する通則法の関連規定が設けられている。しかし成年後見者保護の観点が財産管理から身上保護へ移りつつある傾向からみても、国際私法上の身上保護の具体的範囲を決める必要性が生じているため、任意後見と法定後見制度の関連性にも着目し、国際裁判管轄に関する検討を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、日本の法適用通則法と2000年ハーグ条約について比較法的検討を行う。 第二に、成年後見制度の分野において韓国は第4世代といわれる成年後見制度というべきことができる。韓国の実質法レベルでの法適用状況を研究するため、資料収集の目的で韓国への研究出張を計画している。
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Research Products
(1 results)