2013 Fiscal Year Research-status Report
雇用対策事業を有効具体化する法技術-地域〈雇用実現の法〉を構築する-
Project/Area Number |
24530062
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
紺屋 博昭 鹿児島大学, 司法政策研究科, 教授 (30344584)
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Keywords | 雇用政策 / 労働市場 / 雇用創出ルール |
Research Abstract |
〈雇用創出の法〉〈就業支援の法〉そして〈雇用安定の法〉の概念整理と理論モデル化を目指し、関連諸法の制定経緯と各種政策事業の進捗推移について各種資料の集積を図る。並行して地方自治体が企画実施する雇用関連事業について特に先端〈現場〉での事業状況を調査する。その上で雇用創出から雇用契約の持続安定に至る連続性に注視した事業体制の問題点を掘り下げる。また諸外国における就業と雇用形成サポートの実例にアプローチを試み、雇用創出と就業支援の具体化に関する多角的検討視座を得る。当研究は3ヶ年計画で進められる。期間中途で取材調査レポートを随時リリースし、先端〈現場〉と研究の相互フィードバックに努める。また取材先〈現場〉担当者らの共同レポート作成にも取り組む。地方自治体の雇用創出担当セクションに参画し、同自治体が企画創出する地域雇用プログラム等への具体的還元ないし実証実験を試行し、〈雇用実現の法〉研究の成果具現化を目指す。 上記の目的の実現のために、全国自治体が平成20年度以降に作成・提出した約150 の「地域雇用創出計画」と約100 の認定「自発雇用創造地域」の事業計画とその評価を手掛かりに、近時の雇用創出の契機と展開を、本来需要型、計画助成型、代替試行型といった分類を通じて、当事者への刺激・誘発、インセンティブ付与、助成の各相関を整理してみた。また、昨今の通称「緊急雇用」事業の具体化に関する現場の創生アイデアと雇用実現、さらには事業監理の諸問題等を現地ヒアリングするなどした。 また政策法とは別に、雇用と労働法の法理の研究も並行して進め、特に地域雇用と関連する入職時のステートメントに関する論考、地域労働紛争の調整と解決に関する論考、あるいは非正規雇用契約に付される特約強制に関する論考等を作成し、地域雇用の法のありかたをなお検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災の影響により、東北の各自治体では、緊急雇用事業やそれ以前の雇用パッケージ事業の振り返りを試みる余裕がなく、したがってこれら過去事業への振り返りと評価のためのアプローチが困難になっている。 他方で、復興雇用の問題点はリアルタイムでトレース可能であり、今年度末においては各被災地自治体における「セトルフォーワーク」(研究代表者の造語)が重要になってきており、この観点および研究視角での自治体への情報提供と取材等を進めることで、研究全体の進捗を図っている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のとおり、〈雇用実現の法〉の具体化のために、新視角となるセトル(復興あるいは地域再構築のための定住ないし帰還)とのための地域雇用の在り方を、今後の研究推進方策の一つとし、同時に研究計画に従った研究実施に努めることにしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
東日本大震災により、東北方面の各自治体との間で地域雇用の法に関する各種情報収集と交換の企画に関して遅延が発生した。そのため中間レポートの作成に関する費用や旅費に関する費用が未使用となった。 被災地の復興に関する新しい研究視角と方法を補足し、上記の未使用分に関する研究を次年度で実施する予定である。
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