2013 Fiscal Year Research-status Report
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24530063
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
中川 純 北星学園大学, 社会福祉学部, 教授 (50326534)
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Keywords | 障害者 / 雇用 / 賃金 / 年金 / 職業リハビリテーション / オーストラリア / 台湾 / アメリカ |
Research Abstract |
2013年度においては、2012年度と同様に比較対象国(アメリカ、カナダ、オーストラリア、台湾、日本)の情報収集を主に行った。 台湾の研究においては、福祉的就労の「雇用化」政策の流れの中で、一般就労と福祉的就労の2つの賃金施策が障害者の一般就労移行および福祉的就労にどのような影響を与えるかを検討した。これをあきらかにするために、障害者雇用施策の研究だけではなく、職業リハビリテーションや職業紹介の観点からも研究を必要であった。そのため、2014年1月20日から28日まで台湾を訪問し、勞工委員會職業訓練局、新北市三重区就業服務站、育成蕃薯藤庇護工場、臺北市勞動重建服運用處で調査を行った。研究の結果として、一般就労に対する通常の最低賃金および福祉的就労に対する能力比例型賃金の二元体制は、施策の対象を一般就労、福祉的就労、在宅および職業訓練の三層にわけ、それを際立たせる(各領域における雇用流動性を低くする)効果を有していると分析している。研究成果は、2014年6月に季刊労働法で発表の予定である。 オーストラリアの研究においては、一般就労と福祉的就労に対する2つの賃金政策が、所得保障および就労移行政策の中でどのような意義を有するのかについて研究をおこなった。この調査のため、2014年3月15日から27日までオーストラリアのキャンベラ (オーストラリア国立大学)に滞在した。オーストラリア連邦政府のソーシャルサービス省BSWAT局、NIDS局、就労支援局、就労移行支援施設(LEAD)を訪問し、情報の収集にあたった。賃金政策がソーシャルインクルージョンを目的としているものの、年金や医療の関係から、賃金政策による誘導は想定しているよりもうまくいっていないことが今のところあきらかになっている。研究の成果については現在まとめているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は障害者に対する賃金政策を中心に研究を進める予定であったが、所得保障や職業リハビリテーションに関連させないと研究の目的が達成されないことがわかったため、作業量が想定の2倍程度になった。しかし、精力的な研究や研究対象国の研究者の協力もあり、着実に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究課題としては、第1にオーストラリアの研究についてまとめること、第2に台湾の研究でやり残している障害者に対する賃金・所得保障と就労移行の関係について調査をおこなうことである。第3にアメリカの調査については2012年度に実施しているものの、大きく進展しているわけではないので、2014年秋にアメリカ(ワシントン州を予定)を訪問し、調査を実施したい。第4に、カナダの研究については、まだ開始したところだが、2014年6月に訪問し、情報の収集をおこないたいと考えている。アメリカ、カナダの調査結果については2014年度内に発表したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究書を購入する予定であったが、申請時期に間に合わず、私費の購入となったため。 研究書の購入にあてる。
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