2014 Fiscal Year Annual Research Report
共同出資会社をめぐる独占禁止法上の適切な対応策についての研究
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24530064
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
鈴木 恭蔵 東海大学, 専門職大学院実務法学研究科, 教授 (00317827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 教之 関西学院大学, 経済学部, 教授 (60098431)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 共同出資会社 / 独占禁止法 / 問題解消措置 / 排除措置 / 効果・影響 / 競争制限 / 情報共有、 / ライフサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)共同出資会社(=合弁企業)について、経済理論的分析によると、①共同出資会社の経 済的効果として、交渉力強化による費用削減、学習効果、技術革新効果があるものの、②競争制限効果として、シグナリング効果(出資会社間の協調によるライバル企業への波及)、多角化企業による多市場接触に伴う競争制限の可能性、共同出資会社を通じる出資会社間の情報交換・共有による製品の生産販売における共謀の可能性があること、③共同出資会社の設立は、需要縮小期に生産規模の削減を目的とすること、④設立後に当初の予想と異なり効率効果が小さい場合には解散要因となることを明らかにした。 (2)共同出資会社を含む企業結合における問題解消措置として構造的措置と行動的措置とがあり、米国・EU・カナダは構造的措置を原則とするものの、実際には行動的措置をとる事例が多く見られ、各国とも、措置の実効性に焦点を当て、構造的措置と行動的措置とを組み合わせ、妥当な方法で弊害を取り除こうとしていることが明らかとなった。 (3)日本においては、平成5年度から同25年度の間に、問題解消措置をとることを条件とした共同出資会社について分析したところ、①その事業目的は生産部門の統合が主であること、②共同出資会社設立後に解散した原因は主として出資会社(=親会社)側の事情によるものが3割弱であること、③問題解消措置のすべてが行動的措置であったこと、④問題解消措置の課題として、具体的でなく不明確なものが多いこと、及び問題解消措置の実施時期が不明確であること、⑤今後の対応として、問題解消措置の履行状況を毎年公正取引委員会に報告させ、それを評価・公表することが考えられる。
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