2014 Fiscal Year Annual Research Report
刑事過失の認定における実体法と手続法の「連結」の探究
Project/Area Number |
24530071
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宇藤 崇 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (30252943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 直樹 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10194557)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 刑事要件事実論 / 多段階過失 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 本研究は,過失犯における注意義務違反がどのように認定されるかを例にとりながら,起訴・審判の過程において刑事実体法をより適切に実現するために必要となる実体法と手続法の「連結」の条件を検討し,その理論的指針を提示する目的としている。平成26年度は最終年度として,引き続き作業を進めるとともに,研究の成果をまとめることに注力した。 2.刑事実体法との関係では,刑事過失について,表裏の顔(危険実現と制御不足)が関連性の枠内にあることを要するが,認定上は,「危険性」や「注意義務」が他面の要求を踏まえていれば,どちらから記述してもよいことを明らかにした。具体的には,最高裁が「危険実現」を論じた日航機ニアミス事件を素材として,「危険性」の記述を検討し,航空管制業務という「下絵」に読み込まれていた価値判断を引き出すことで,管理社会に流れる(危惧感説に傾斜する)過失犯論に歯止めをかけながら,合理性のある「認定」につなぐ指針(当事者関係や取締規則等の扱い方)を探ると共に,当事者が納得できる訴訟を実現するための手続面の課題を指摘した。 3.刑事手続法との関係では,上記のように明らかになった刑事実体法上の議論,また指摘された手続面での課題を受けてその対処方につき,検討した。さしあたり,訴因の明示・特定における「罪となるべき事実」の摘示につき,どの程度の記載が必要となるかという点につき,その対処方法を示し,残る課題の位置づけを確認した。論文としての研究成果の公表は次年度以降に行うが,研究会等にて報告し,その成果の一部を素材として研究者のほか,裁判官,検察官を中心とした実務法律家と意見交換をした。
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Research Products
(4 results)