2015 Fiscal Year Research-status Report
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24530073
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
柑本 美和 東海大学, 専門職大学院実務法学研究科, 教授 (30365689)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 触法精神障害者 / 矯正医療 / 強制通院制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、平成26年度に、集中的に文献調査を行ったイギリスの触法精神障害者処遇制度について実地調査を行う予定であったが、安全面への配慮から渡航を断念した。そのため、イギリスのみならず、その他の諸外国における触法精神障害者処遇制度、一般精神医療制度について、フォローアップのための文献調査を行った。その中で明らかになったのは、どこの国でも、成人のみならず少年についても、時機を逃さず適切な治療を提供するための制度整備、矯正施設から退所した者、あるいは入所処遇を受けない者への医療提供、医療継続のための制度整備に苦心しているということであった。 我が国でも、これらの点は、現在も問題であるし、今後も大きな問題となりうる点である。特に、矯正施設で精神障害に罹患している者は、全収容者の1割近くを占めるため、出所時にかなり医療機関への引継ぎが行われているはずであるのに、医療が長期間継続されたままの状態でいることが難しい。仮釈放になれば保護観察期間で対応が可能であるが、保護観察が終了し、あるいは満期出所の場合には、自傷他害のおそれがあるか、身元引受の家族がいるかなどしなければ医療につながり続けることは極めて困難である。イギリスやカナダでは、このような場合、強制通院命令制度という精神医療制度の枠組みで対応を行っており、アメリカの州の中には特別収容制度を有しているところもある。我が国でも、この問題に対処すべく、何が最適な制度であるかを検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イギリスで司法精神医療制度について視察を行うべく、視察先に関する段取りを開始していたが、ISの連続爆破テロがフランス、ベルギーで発生したような状況下では、いつ何が起きるかも分からず、ヨーロッパ渡航は難しいと判断した。その点について、当初より研究計画に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に実施できなかった実地調査を行う予定であり、特に、受刑者への医療提供、更生保護段階における医療提供、少年への医療提供に焦点を当てた調査を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
イギリスで司法精神医療制度について視察を行うべく、視察先に関する段取りを開始していたが、ISの連続爆破テロがフランス、ベルギーで発生したような状況下では、いつ何が起きるかも分からず、ヨーロッパ渡航は難しいと判断した。その点について、当初より研究計画に遅れが生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
イギリス視察、およびその際の通訳費用等に使用する予定である。
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