2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24530087
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡部 美由紀 名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40271853)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 仲裁 / 多数当事者 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は,これまで収集・分析した資料をまとめ,論文を執筆した。 多数当事者紛争を訴訟により解決する場合には,訴訟が公権的・強制的解決方法であることを前提として,民事訴訟法に手続の併合に関する規律が置かれており,これに基づいて処理される。しかし,当事者合意を基礎とする仲裁では合意が欠ける場合には仲裁廷の管轄自体が否定されるため,別段の考慮が必要となる。他方,効率性や矛盾判断の防止という点からは,多数当事者が関与する紛争を一挙に同一の仲裁手続で処理することが望ましいこともある。そこで,多数当事者仲裁において,一部の仲裁合意に併合についての文言が欠けていたり他と整合しない場合にどう処理すべきか,また裁判所により手続の強制併合が可能かどうかといった問題について,ドイツやアメリカをはじめとする諸外国の法律や主要仲裁機関の規則等を参照しつつ,検討を加えた。また,アメリカでは,集団仲裁(Class arbitration)が行われており,それに伴う問題や判例の展開があり,注目される。これらの研究成果について,渡部美由紀「多数当事者仲裁の法的規律―手続の併合を中心に」『河野正憲先生古稀祝賀・民事手続法の比較法的・歴史的研究』(2014年12月,慈学社)699-734頁に公表した。 また,国際的な動向を確認するため,国内外の研究者との情報・意見交換を行った。とくに2014年10月1-3日の日程でソウルで開催された国際訴訟法学会にナショナル・レポーターとして参加し,外国の研究者と研究課題についての情報を収集したほか,アメリカの集団仲裁の状況について,2015年3月25-28日の日程で,UCHastings(アメリカ・サンフランシスコ)を訪問し,現地で研究を行う研究者から最新の情報を得,意見交換や資料の収集を行った。
|
Research Products
(1 results)