2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530091
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久保 大作 大阪大学, 高等司法研究科, 准教授 (90384726)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 企業会計法 |
Research Abstract |
平成24年度は、日本法における会社法会計の現状把握と、外国法との比較に関する研究が中心となった。 日本法研究としては、「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行 」(会社法431条)意義の理解と、会社法上の規制をエンフォースするための制度の分析を行った。前者の成果が「「『公正なる会計慣行』における明確性の位置づけ 」である。これは、国際会計基準が我が国会社法会計の規範として受け入れられるかどうかという問題について、現行法において受け入れが可能かを判断するための基礎作業としての性格を有している。当該論文では、最高裁の裁判例が必ずしも『公正なる会計慣行』となるための要件として明確性を要求しているとはいえないことを、裁判例のテキストを分析しながら論じている。また後者の成果が「会社法における開示規制・分配規制への刑事的制裁 : 会社法からの分析」である。当該論文では、開示に関する会社法罰則がほとんど運用されていないこと、また分配に関する会社法罰則がそれ単独では適用されず金商法上の罰則との併科がなされていることを指摘したうえで、そのような運用のされ方を改正することに慎重な見解を示した。本研究も、会社法会計制度の基礎研究として位置づけることができる。 比較法研究としては、「資本制度・分配規制に関連して」を公表した。この論文は、資本金制度と貸借対照表とを分配規制の基礎としている現在のEU会社法に対する批判、および現在の制度とは異なる考え方にたつ改正提案とそれに対する議論を紹介した。会計制度と分配規制の結びつきを考える際の基礎資料としての意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画における「IFRSを日本法に適用した際の影響」については、いまだ公表する程度の研究が進んでいない。これは、日本法の現状把握にやや時間がかかっていることが理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のとおり、IFRSの日本法に対する影響の程度に関する研究を引き続き推進したい。また、ニュージーランドの分配規制がEUにおける改正提案と比較的近い内容を有するものであるので、ニュージーランドにおける分配規制の成立過程と実際の運用状況についても研究対象としたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めていく上で研究計画どおり必要に応じて研究費を執行した結果、若干の残額が出た。平成25年度は海外事情調査に関する旅費に充当する予定である。
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