2014 Fiscal Year Research-status Report
包括担保化時代における担保権と事業再生との調和に関する手続的研究
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24530096
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
高田 賢治 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 教授 (40326541)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 包括担保 / 事業再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、包括担保化時代における担保権と事業再生との調和に関する手続的研究を目的とするものである。この研究目的の背景には、研究の全体構想として、倒産法における清算価値保障原則の基礎的研究がある。 包括担保を考える上で重要となると考えるABL法制について研究を進めている。それゆえ、本年度も、前年度に引き続いて、ABL法制研究会に参加して、ABL法制に関して比較法的な知見を得ることができた。そして、イギリスのABL法制に関して研究を進め、イギリスの担保法制に関する研究成果の発表にむけて研究をまとめる作業をすることができた。 次に、わが国の破産法における取戻権に関する研究を進めた。とくに信託受託者の破産と譲渡担保権者の破産を中心に取戻権について研究をまとめた。 さらに、民事再生法における無担保債権者の清算価値保障原則に関する研究に着手することができた。事業再生のツールであるはずの民事再生手続が、厳密な清算価値保障原則の適用によって必要以上に事業再生を困難にする状況を生じさせるおそれがないかどうかを検討することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イギリスのABL法制研究については、研究成果をまとめる段階に入ることができ、他のイギリスABL研究者との調整を行った。 また、包括担保化時代における担保権と事業再生との調和に関する手続的研究は、研究の全体構想としての清算価値保障原則の基礎的研究の一部として位置づけてきたところ、ようやく、その清算価値保障原則についての基礎的研究に着手し、研究成果を公表することができた。 以上の理由により、当初計画との関係で、順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、まず、イギリスABL法制研究の研究成果を公表する計画である。また、清算価値保障原則の研究をさらにすすめて、倒産法における債権者の一般の利益の視点から研究を進めて研究論文にまとめる計画である。 以上の研究を推進するにあたり、必要な文献の購入・読了、在外研究を行うことが有効であると考える。
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Causes of Carryover |
当初、本研究費によってイギリスにおける包括担保化時代における担保権と事業再生の調和に関する手続的研究を進める予定であったところ、所属大学内の研究費によって短期間のイギリス在外研究を進めることができた。この予算を優先して使用することとした結果、当初予定していた海外旅費の支出予定額よりも大幅に少ない支出結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、(1)イギリスにおける在外研究と海外文献の購入、(2)国内における研究会等における研究成果の発表のための国内出張、(3)研究成果の印刷配布等のための備品・消耗品の購入によって使用する計画である。
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Research Products
(2 results)