2013 Fiscal Year Research-status Report
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24530109
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
清水 耕一 神奈川大学, 法学部, 准教授 (20524391)
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Keywords | 船級協会 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
船主責任制限法体系の理論的構築のために、責任制限権者としてこれまで認められていない船級協会について研究を進めている。 船級協会は、劣悪な船舶を排除するため、「船級」という船主との私的契約上の委任に基づく格付けを実施する。ところが、この船級協会が付与した船舶が海難事故を発生させたときには、契約の相手方である船主に対する責任のみならず、当該船舶を譲受けた者や漁民・地域住民などの第三者に対しても責任が及ぶのかは、ドイツ法では船級契約の第三者保護効果として従来議論されてきた。 しかし、船級協会に対するIMOの法規範およびEU法上の法規範を踏まえたうえでの議論の整理が必要になってきた。すなわち、IMOのルールよりもさらに厳格なエリカ号IIIパッケージ(民間船級協会の認定と委託制度について)の影響により、船級協会の二重機能(私契約上の委任に基づく格付けおよび旗国の行政による委任に基づく契約上委ねられた高権的(hoheitlich)行為)に対する法的評価が必要である。その調査により、船級協会が船主責任法体系にどのように位置づけられるのかを探る。 欧州で発生したエリカ号事件とプレステージ号事件という大規模な海洋汚染事故を経て、船舶の安全航行がより一層重要になっている。本研究は、それを担保する仕組みの一つである船級についての役割と責任の在り方を探ることであり、船舶の安全航行に資する意義を有する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
船級協会と船級協会を取り巻く国内外、とくにドイツの資料を収集および整理している。相当量の資料が蓄積されている。 本研究の成果論文は、損害保険研究76巻3号(2014年11月)に掲載予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
船主責任制限法という極めて特異な法制度のあり方と船舶の安全航行を担保するためにはどのような方策が必要であるのかということを意識しながら、各責任制限権者のありようを探るながら、 それらの論点を調査分析および整理して船主責任制限法体系の理論を組み立てていく。
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