2013 Fiscal Year Research-status Report
知的財産権担保による資金調達の円滑化のための制度的研究
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24530111
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
川瀬 真 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 教授 (10607831)
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Keywords | 知的財産権 / 著作権 / 知財担保 |
Research Abstract |
今年度については、昨年度実施したコンテンツ産業、金融機関及学識経験者に対するアンケート調査の結果を踏まえ、学識経験者による研究会において、内容の分析を行なった。また、アンケート調査において興味のある回答を寄せていただいた企業や他の学識経験者から紹介していただいた企業等の担当者に面会し、より詳細な事実関係やご意見を聴取した。その結果、知財を用いた資金を経験した企業は少ないものの、映画やアニメ等の映像や音楽分野では、特に規模の小さい企業を中心に一定の需要があるのが分かった。他方資金提供側については、大手の金融機関は、取材対象の機関はどこも消極的で、その原因として、資産評価や権利保全の難しさが課題になっていることが分かった。しかしながら、融資等を実際に行っていないが、金融機関に知財を用いた資金提供をアドバイスするコンサルタント企業が育っているほか、第二種金融商品取引業者等の比較的規模が小さい金融機関については今後に期待できる機関もあることが分かった。 次に、9月にフランス民法の研究者、私の研究の手伝いをしてくれる博士後期学生と私の3人でパリ等へ調査に行き、2006年に改正された担保法の運用状況と映画における知財担保の現状を関係者から聴取した。特に、フランスでは知財担保は主として質権が使われていること、特に映画の場合は、映画専門の金融機関が発達しており、資産の評価や権利保全についても長い実績があるので、資金の提供及び回収に問題が生じることは少なく、業務は円滑に行われているとのことであった。 このような研究を昨年度は行ったが、アンケート調査の分析やフランスを含む関係者の取材から得た知見は非常に貴重なものであり、平成26年度におこなう研究のまとめに当たって重要な示唆を提供してくれた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度については4月から8月まではアンケート調査の分析を集中的に行い、9月にフランスの調査、帰国後調査で得られたデータ等を分析するとともに、引き続き予定していた企業等の担当者への取材、平成26年に入ってからは、総合的な分析を行うことができた。このように年度当初予定していた研究の手順は、ほぼ予定通り実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、2年間の調査結果を踏まえ、研究の成果をまとめ、学術雑誌や学会発表を通じ、成果を公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
おおむね予算は計画どおり執行できたが、端数が少額残った。 平成26年度は、報告書作成経費を計上しているが、その一部に充当したい。
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Research Products
(1 results)