2013 Fiscal Year Research-status Report
プロ・スポーツ団体の多様性と各団体構成員の権利関係についての重層的考察
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24530113
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
志谷 匡史 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60206092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 典之 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (70203247)
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Keywords | スポーツ法 / EU法 / 株主保護 / 人権保障 |
Research Abstract |
本研究は、プロ・スポーツ団体の持つ法的組織の多様性、その内部統制原理に対する国家法やEU法の規律について、私法および公法の両面からの共同研究である。平成25年度は、平成24年度の研究に引き続いて、1)EU法の下でのプロ・スポーツ組織の法的仕組み、2)EU法の下でのヨーロッパ各国におけるプロ・スポーツ団体内部の利害対立、および、3)EU法の下でのヨーロッパ各国におけるプロ・スポーツ団体内部の統治原理に重点を置いて研究を行った。 研究代表者・志谷および研究分担者・井上は、平成24年度および同25年度の研究の成果をまとめ、「スポーツ法とEU法」のテーマの下、現在雑誌に連載公表中である。 研究代表者・志谷は、私法の視点から上記研究項目2)および3)に焦点をあてた報告として「プロサッカークラブにおける内部紛争と会社法(その一)」を書斎の窓633号35~39頁に公表予定である。また、同誌上に「プロサッカークラブにおける内部紛争と会社法(その二)」の公表を予定している。 研究分担者・井上は、公法の視点から上記研究項目1)~3)を俯瞰した報告として、「プロ・スポーツを法的に考える」書斎の窓626号2~6頁、「欧州統合への道のりとスポーツ」同誌627号2~6頁、「リスボン条約におけるスポーツのテーマ化」同誌628号12~16頁、「ヨーロッパ・サッカーとEU法」同誌629号16~20頁、および、「ヨーロッパ・サッカー・リーグの特徴」同誌630号2~6頁を公表した。 さらに、研究代表者・志谷は、プロ・スポーツ団体の一部は株式を上場している実態に着目し、国際化する投資行動とプロ・スポーツの関係を考察する視座を得るため、「外国人投資家による証券取引とSEC規則10b-5」商事法務2028号56~59頁に研究成果をまとめ、公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度において、平成24年度から開始した研究の進捗状況を踏まえて、全体的な研究項目のうち、研究計画に記載した通り研究の重点を次の3項目に置いた。すなわち、1)EU法の下でのプロ・スポーツ組織の法的仕組み、2)EU法の下でのヨーロッパ各国におけるプロ・スポーツ団体内部の利害対立、および、3)EU法の下でのヨーロッパ各国におけるプロ・スポーツ団体内部の統治原理がこれである。 これら3項目について、関連図書の購入を計画し、購入することのできた関連図書から知見を得ることができた。さらに、他の研究者との間で意見交換を行うことができた。 購入図書から得られた知見や他の研究者との間の意見交換を踏まえて、研究代表者・志谷と研究分担者・井上の両名は、上記3項目の研究項目についての研究の取りまとめを行い、その成果を上記「書斎の窓」誌上に連載公表することができた。すなわち、研究代表者・志谷は、プロ・スポーツ団体のうち株式会社形態で営まれるものを抽出し、株式会社として会社法の規律にどの程度馴染むといえるかという問題意識を基礎に、支配株主と少数株主との間、株主と経営者との間の利害対立の調整が一般の株式会社と異なるものとして行われ得るのか否かを検討し、流動的状況にある現状を分析することができた。その成果は上記「書斎の窓」誌上に連載公表の予定である。 また、研究分担者・井上は、公法の視点からプロ・スポーツを検討する立場から、スポーツ法の意義を明らかにし、EU法の下でのヨーロッパ各国におけるプロ・スポーツ団体内部の統治原理やリスボン条約におけるスポーツの位置づけについて、上記「書斎の窓」誌上に連載公表されたように研究成果をあげることができた。 以上により,私法および公法の両視点から研究成果をあげることができたことから、平成25年度における研究計画はおおむね順調に達成できたと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究計画は、研究計画書に記載したように、本年度が研究の総括の年として、日本国内での研究会での報告や,まとめの論文執筆に従事する。 具体的な研究計画は、平成24年度および同25年度に得られた研究成果を基礎に、1)EU法の下でのプロ・スポーツ組織の法的仕組み、2)EU法の下でのヨーロッパ各国におけるプロ・スポーツ団体内部の利害対立、および、3)EU法の下でのヨーロッパ各国におけるプロ・スポーツ団体内部の統治原理までの内容については、平成26年度には補足的調査を行った上で、これらの研究項目については、その研究成果の取りまとめが本年度の中心的作業となる。これに対して、4)EU法の規律の下での国際的レベルにおけるヨーロッパ団体頂上組織の位置づけ、および、5)アメリカのプロ・スポーツ団体における統治原理とヨーロッパ・レベルのものとの比較については、まだ不十分な部分が残るので、そのために必要な関連図書の購入および海外への最終的な調査出張を実施する。その上で、これら両項目について調査研究の成果を取りまとめる。 (次年度の研究費の使用計画) 平成26年度においては、研究代表者・志谷と研究分担者・井上は、上記1)~3)の研究項目については補足的調査として、現地での関係者の意見聴取、資料収集の目的でEU関連機関に調査出張を行う。そこでの調査に基づき、上記1)~3)の研究項目について研究成果の取りまとめを行う。それと同時に、研究代表者・志谷と研究分担者・井上は、上記4)および5)の研究項目について、研究の取りまとめに向けて、必要な関連図書の購入および海外への最終的な調査出張を実施する。そのために、平成26年度は、外国旅費を計上し、研究・調査出張のために必要な重要な外国図書を平成24年度および同25年度に引き続き購入する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度において、次年度使用額として10円が生じた理由は、平成24年度の未使用額の支出に努めたものの、平成25年度中に図書館を通じて発注・購入した図書に関して、値引き分の繰り戻しが生じたためである。 平成26年度は、次年度使用額28円を加えて、今後の研究の推進方策に記載した次年度の研究費の使用計画に従い、助成額をさらに合理的かつ効率的に使用するように努める。
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Research Products
(7 results)