2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530121
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
若松 陽子 関西大学, 法務研究科, 教授 (80388420)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 歯科医療過誤 / 説明と同意 |
Research Abstract |
① 助成を頂き関連学会に参加し、かつ関連書籍を購入して、歯科医療に関する安全性や法倫理についての研究を行った。 ② その成果として、第1に第42回公益法人日本口腔インプラント学会・学術大会において講演を行った。この講演後の質疑応答により、研究の内容に深まりができ、今後の研究についての示唆を得た。また、大会後の懇親会(自費参加)により、歯科医療研究者との交流が深まり、本質に迫るコメントも頂いた。 ③ 従前から多くの助言を頂いている佐賀大学医学部歯科口腔外科学講座の後藤昌昭教授とともに、倫理問題につき意見を交換し、「デンタルインプラントの研究に関係する倫理問題と対応」(共著,日本口腔インプラント学会誌第25巻4号,平成24年12月31日発行)を著述し発表した。 ④ とりわけ、研究のうち法倫理に力点をおいたのは、平成23年12月22日、国民生活センターからインプラント事故に関する報告「歯科インプラント治療に係る問題-身体的トラブルを中心に」がなされ、引き続き平成24年年1月18日、NHK「クローズアップ現代」においても「歯科インプラント トラブル急増の理由」が放映され、安全な歯科医療、とりわけインプラント施術の安全が求められたからである。高齢社会において、安全な医療、とりわけ自然歯に代替するインプラントの需要が高まっているが、安易な施術による失敗例が後を断たない。従前から研究目的としている患者の自己決定権を実行あらしめ、正確な施術とそのリスクや副作用を説明義務として課すことは今後必要なことである。それらをまとめて、歯科医療者に提言した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
・学会の講習などに積極的参加し、それと共に歯科・法律関連の書籍や論文の読み込みを行ったが、当初予定の判例の分類が端緒についたばかりで、成果が止まっている。 ・その原因は、第1に、法科大学院制度の有り様が問われる事態が生じ、学生の指導に大半の時間や労力がいったこと、第2に、歯科医療と法の問題につき医療過誤事件による死亡など、新たな事件や状態が生じたため、その対応に追われたことである。 ・判例の収集の遅れを取り戻そうと、学生アルバイトを一時使用したが、結局当を得なかった。直ちに、それを打ち切り、自らが直接行うこととしたがそれもやや遅れた一因となった。 ・しかし、現在生じているインプラントの安全性など緊急の問題に取り組めたことは、今後に活かせると思っている。
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Strategy for Future Research Activity |
・1年目は、歯科医療過誤という現象に影響された感があったため、今年は地道に判例の分析を行う。 ・当初計画通り、歯科医療の専門家との議論等を経て、論文へと集約できるように、著作に力を入れる。 ・そのために、さらに資料の収集を行い、ヒアリングなどを積極的に活用していく。学会への積極的な参加はこれからも続行していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として、学会への参加費、法律・歯科医療の両面にわたる資料の入手、歯科医療に関する臨床家や研究者に対するヒアリングに対する謝礼や交通費に使用予定。
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