2013 Fiscal Year Research-status Report
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24530121
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
若松 陽子 関西大学, 法務研究科, 教授 (80388420)
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Keywords | 歯科医療過誤 / 説明と同意 / インプラント治療 |
Research Abstract |
① 歯科医療に関連する裁判例を収集し、分類、検討に着手した。具体的には、株式会社TKCが提供する公的判例集データベースを参照しながら判例集にあたり、対象、争点ごとに区分していくことを始めた。判例集のみならず、出版書籍での紹介事例やヒヤリハット事例についても、傾向を分析するため収集している。 ② 拙書『歯科医療過誤訴訟の課題と展望』(2005年、世界思想社)が出版から10年を経て内容を刷新する必要性があり、本研究の成果を新版として公刊するため出版社、担当編集者と打合せを行った。拙書についての問い合せは今もあるが既に在庫切れとなり、中古書が定価の数倍で取り引きされている現状から、歯科医療過誤訴訟に関する研究成果が著作として求められているとのことであった。内容としては、次の点を盛り込むことで一致した。具体的には、次の通りである。医療過誤訴訟の基本的考え方(医療水準、疫学的因果関係、損害)には変化がないが具体例での発現の有り様が問われてきているので、その点を押さえる。個々の歯科医療の裁判例を分析する。個別のトピック(混合診療、COIなど)を取り入れる。 ③ 刊行のスケジュールや構成、体裁などの打合せを続行中である。そのための全体構成と目次を作成した。 ④ 歯学部教授や歯科医師と面談、交流し、歯科医療の実際や知識の教授を受けた。歯学系の学会に所属し会合に頻繁に参加し、歯科医療的問題点を法的視点から見直すことを行い、意見交換を行っている。トピックな問題にも気付かされることが多い。 ⑤ 昨年に引き続き、関連学会への参加と発表を行い、研究内容を深化させた。歯科の専門家を対象に行うため、歯科医療の知識自体も会得することが必要と痛感し、歯科関係の書籍にもあたった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前半は研究も軌道にのり大いに進展した。何よりも、出版に向け編集者と協議を持ち、体裁やスケジュールの予定を立てたので、それに向け判例などの収集、検討に弾みがついた。歯科医療の裁判例が数多く公表されていることもあって、普遍的な理論とあてはめにつき、論じることができる手応えを感じた。しかし、後半、大学院の授業もある中、疾病のため入院治療を要し、その間及びその後の療養、授業の遅れの取り戻しなどのため、研究が後手に回ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
疾病の治療は終わり予後も良好であるため、去年の遅れを取り戻すために全力で研究に取り組む。また、本学勤続10年を経て6ヶ月間の国内研修の機会を頂いたので、時間的にも研究に専念できる。授業や大学務にあてていた曜日と時間は、強制的に他事をせず、本とパソコンに向かう時間とすることを決めた。また、実務家としての弁護士業務も継続事案以外は受任せず、研究の時間の確保を行う。さらに、編集者と定期的に連絡を取り、出版に向けたスケジュール通り進展しているか、チェックを行う。よって、当初計画通りに、本研究を仕上げられると考えている。 引き続き歯科医療を巡る判例や法令・制度を研究し、その成果を著作として刊行予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度秋に疾病のため入院治療を必要としその後も授業補講などで時間を要し、予定通りの研究が遂行できなかったため。 疾病治療については終了し予後良好なため、遅れた分を取り戻し研究を続行する計画。 書籍(医療裁判に関するもの、医療及び歯科医療に関するもの)を購入する。学会に参加するため学会参加費に使用する。判例収集と分析のため、法科大学院生をアルバイトとして雇用する。
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