2013 Fiscal Year Research-status Report
タイ王室の政治的役割の変化:カンボジア及びマレーシアとの比較研究
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24530130
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
浅見 靖仁 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (60251500)
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Keywords | タイ / 王政 / プミポン / シハヌーク / タクシン / カンボジア / 王室 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
平成25年度は、タイとマレーシアで現地調査を行う予定だったが、タイでタクシン派と反タクシン派の対立が激化し、王室の政治的役割をめぐる議論がタイ国内でも活発に行われるようになったため、当初の予定を変更して、タイでの現地調査に専念することにし、マレーシアでの現地調査は平成26年度に行うことにした。 7月13~18日、7月22~28日、1月29日~2月3日の3回の現地調査をタイで行い、ターク県で王室に対する一般住民の意識についての聞き取り調査を行ったり、バンコクにある国立図書館で、1950年代から60年代の資料の収集を行ったりした。バンコクでは王政についての研究を行っているタイ人研究者や王室関係者への聞き取り調査も行い、1月29日~2月3日の調査の際には、反タクシン派及びタクシン派の政治集会参加者を対象にした聞き取り調査も行うことができた。 平成25年12月7日に東京外国語大学で開催された第90回東南アジア学会研究大会では、これまでの研究成果の一部を「1950~60年代におけるタイの王室イメージの再構築:プーミポン国王の2つの顔」と題して報告した。この報告では、従来あまり注目されてこなかったカンボジアのシハヌーク国王の活動が、1950年代~60年代におけるタイの王室イメージの構築に与えた影響にも焦点を当てた。 また現在のタイにおける王室イメージの変化については、雑誌『世界』(853号、2014年2月、29-32頁)に「揺れ動くタイ政治:反タクシン派の『巻き返し』と『迷走』」と題する文章を寄稿し、その中で王室イメージの変化が最近のタイの政治対立に与えている影響について論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、タイとマレーシアで現地調査を行う予定だったが、タイでタクシン派と反タクシン派の対立が激化し、王室の政治的役割をめぐる議論がタイ国内でも活発に行われるようになったため、当初の予定を変更して、タイでの現地調査に専念することにし、マレーシアでの現地調査は平成26年度に行うことにした。このため、マレーシアの王政についての研究は、当初の予定通りには進まなかったが、タイの王政については、王室に対してさまざまな立場をとる人たちから、タイの王室に対するかなり深く踏み込んだ意見を聞き取ることができ、研究を予定よりも早く進めることができた。また平成24年度及び平成25年度に行ったタイとカンボジアでの調査で収集した資料の分析を進めることができ、その成果を第90回東南アジア学会研究大会で発表することもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度以降も、タイ、カンボジア、マレーシアの王政について、現地でのフィールド調査及び文献調査を行い、比較研究を進める。平成24年度及び平成25年度の研究によって、かなりの量の資料を入手することができたので、論文執筆や学会報告などのかたちでの研究成果の発表にこれまで以上に力を入れる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は当初予定していたマレーシアでの調査を行わず、タイで3回の調査を行った。研究代表者はタイ語を解するため、タイでの調査には通訳が必要でないが、マレーシアでの調査には通訳を必要とする。通訳を必要とするマレーシアでの調査を平成26年度に延期したため、平成25年度は謝金が不要となり、またタイでの調査よりも旅費等が高くなるマレーシアでの調査のかわりにタイでの調査を行ったため、その差額などが次年度使用額となった。 平成25年度の残高188,262円は、平成26年度の旅費及び謝金と合わせて使用し、平成26年度はマレーシアにおいても調査を行う。
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