2012 Fiscal Year Research-status Report
女性の政治参加で政策形成は変わったか:日米比較ジェンダー政治学の試み
Project/Area Number |
24530133
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
岩本 美砂子 三重大学, 人文学部, 教授 (00176570)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幅崎 麻紀子 筑波大学, 男女共同参画室, 准教授 (00401430)
大津留 智恵子 関西大学, 法学部, 教授 (20194219)
武田 宏子 東京大学, 教養学部, 特任准教授 (20622814)
田中 洋美 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 講師 (70611739)
大海 篤子 お茶の水女子大学, ジェンダー研究所, 研究員 (90625542)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 国際研究者交流 / アメリカ / ジェンダー / 比較政治 / ドメスティック・バイオレンス / 女性団体 / 女性議員 / 政策ネットワーク |
Research Abstract |
計4回、東京で研究会を行った。男女共同参画条例制定は幅広い政治アクターの関与によっており、また都道府県により方向性の差も大きいこと、アメリカでの同様な政策が同じ時期には進展していないことが指摘されたが、他方ドメスティック・バイオレンス政策は、政策ネットワークへの関与者が同定しやすく、政策アウトプットの比較もより容易なこと等から、DV政策に研究領域の政策をしぼることとした。その上で、日本における先行業績--DV政策に関するものだけではなく、女性の政策ネットワークが立法に帰結した過程を描いた朴仁京論文『日本の女性政策過程における女性団体』などを--を検討した。 アメリカでのDV政策について、『ドメスティック・バイオレンスとジェンダー』の著者である吉川真美子氏を招き、刑事政策を中心に、州における対応の違いとその背景を考察した。 これらの研究会は、研究代表者・研究分担者の間で、政策ネットワークやDV政策に関する理解を共通のものにする上で、非常に有益であった。この手順を踏んだため、各都道県でのヒアリングが平成24年度末からにずれこんだが、ヒアリング対象都道県の再検討としぼりこみ(北海道・千葉県・東京都・神奈川県・富山県・鳥取県・岡山県)を行い、さらに調査項目の共通化を行った。2004年のDV法第1次改定により各都道府県にDV計画策定が義務づけられたが、その第1次計画の策定に関しての首長レベル・担当行政レベル・議員・関連団体の動きを調査することとなった。年度末から年度替わりにかけて、代表者・分担者はヒアリングを始めている。 こうした調査をまとめる必要があるので、アメリカでの調査は、平成25年度でなく平成26年度に遅らせることとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
女性の関連の深い政策分野は幅広く、少ない人員で調査を行うために対象を絞り込む必要があった。ドメスティック・バイオレンス政策と限定を行ったのちには、その政策が意味するものに関して、研究分担者間の理解が一様でなかった所から、調整のために研究会が必要となったのである。 また、調査箇所それぞれに複数のメンバーで出向く予定が、予算の限定から現実的なものでなくなり、ひとりひとりで調査に赴くことになった。これも、事前に調査項目に関しての合意を高めておかなくてはならなくなった理由である。 岩本が病気療養中で、外国出張がまだ認められていないこと、分担者でアメリカ政治が専門の大津留(北川)智恵子が年度途中で体調不良となったことも、アメリカ調査を平成25年度中に行うという当初の計画を見合わせ、26年度送りにした理由である。 しかし、研究代表者・分担者間での認識を統一したり深めたりすることに時間を使ったことには、研究の充実にとってメリットがあると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度から行う予定であった現地調査であるが、研究会をまず行ったことで開始が遅れ、研究費を平成25年度に持ち越している。平成25年度は、岩本・大海・田中・武田・幅崎が、岡山・神奈川・富山・鳥取・千葉・北海道について、DV第1次計画策定の際の政策関与者に関して、各都道県の行政担当を糸口に同定を行い、首長レベル・担当行政部局・議員・関係団体でどのような動きがあったのか、キーパーソンは誰かなど、調査に基づき確定を行いたい。 アメリカでのDV政策の現地調査は、国内調査のずれこみと、2名の体調問題から、平成26年度に行うこととする。研究発表は、26年度遅くか、場合によっては27年度に行うものとする。 平成25年度に、国内の都道府県の政策過程に関して、できる限りまとめを行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度から持ち越した分は、平成25年度に、国内の都道県の実地調査(旅費・謝礼)に使用する。謝礼に関しては、当初ほとんど予定していなかったが、最近の調査研究のあり方に鑑み、非営利のグループに対して、1件1万円程度謝礼を出すことに変更したものである。 アメリカとの研究交流では、平成25年度に予定した渡米による州の政策過程の調査を平成26年度に遅らせて実施する予定であるが、もし健康状態により平成26年度中の渡米調査も難しいようであれば、アメリカから関連の研究者を招いて、日米比較を行う方法も考慮する。
|
Research Products
(7 results)