2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530139
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木村 俊道 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (80305408)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 文明 / 帝国 / シヴィリティ / ブリテン / イングランド / 君主制 |
Research Abstract |
平成24年度においては、初期近代「ブリテン」における各地域のうち、イングランドを主な対象として、他のスコットランドやアイルランド、あるいはアメリカ植民地に対する文明論や帝国論の展開を把握することを試みた。 以上の作業の中心となったのは、フランシス・ベイコン、ジェイムズ1世(6世)、ジョン・ロック、サミュエル・ジョンソン、エドマンド・バークらによって展開された言説である。いずれも、「イングランド」に限定されない文明論と帝国論の展開が確認された。本年度は海外での資料調査が行われなかったが、この間に収集された David Armitage, Foundations of Modern International Thought (Cambridge University Press, 2013)や Sankar Muthu (ed.), Empire and Modern Political Thought (Cambridge University Press, 2012) をはじめとする研究書は、以降の研究を進めるうえでの重要な基礎文献となる。 本年度はまた、文明や作法を意味する「シヴィリティ」の概念が、「イングランド」を中心とした他地域の支配を正当化する言説のなかで、どのような使われ方をしているかの検討が進められた。5月の政治思想学会への参加は、多義的な「シヴィリティ」の理解を進めるうえでの重要な機会となった。 さらに、このような作業を進める中で、本年度はまた、当時の文明の拠点であった宮廷に加え、各地域を統合する政治的な象徴としての「君主」や「君主制」に注目し、その政治思想史的な意義を明らかにした。その成果の一部は、古賀敬太編『政治概念の歴史的展開』第6巻(2013年)に収録された「君主制」に反映されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度においては、当初予定されていた海外での資料収集のための時間が確保できず、その分の作業の遅れが発生している。また、関連文献の収集と読み込み、そして最新の研究成果の吸収に時間を要しており、「シヴィリティ」と「帝国」の言説との内在的な関係について、独自の見解を提示するための、その裏付けとなる作業の積み重ねが、現時点ではまだ不足している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度においては、24年度に引き続き、「イングランド」に加え「スコットランド」における議論の展開に視野を拡大する。同時にまた、これまでの作業で明らかになった、「文明」と「帝国」の要としての「君主」や「君主制」、あるいは「君主主義」の政治思想史的な意義についても考察を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度においても、24年と同様に、西洋政治思想史関連文献の収集、および国内・海外における資料調査を中心に研究費を使用する計画である。
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