2013 Fiscal Year Research-status Report
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24530145
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Research Institution | Asia University |
Principal Investigator |
増原 綾子 亜細亜大学, 国際関係学部, 准教授 (70422425)
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Keywords | 民主化 |
Research Abstract |
2013年はインドネシア民主化15周年であったことから、1998年のスハルト体制崩壊以降の15年間にわたる民主化過程を、政軍関係も含めて総括するという作業を行った。7月に出された『ワセダアジアレビュー』(早稲田大学アジア研究機構)では「変わるインドネシア」と題された特集号が組まれたが、その中で「インドネシアの政治・外交 好調な経済を支える政治的安定」というタイトルで、ユドヨノ政権下の10年で国内紛争が収まり、治安・政治が安定していった過程を説明した。また、12月に東京外国語大学で開催された東南アジア学会研究大会では「インドネシア 民主化の15年」と題して発表を行った。その中で、選挙・議会制度の整備及び文民統制の制度的整備が進められ、同時に紛争の収束に力点が置かれた1998年から2004年までとガバナンス改革(汚職撲滅、行政改革、社会保障整備など)が進められた2005年以降とを対比しながら、15年間の民主化過程を論じた。 インドネシアの民主化をマレーシアと比較するという角度からの分析も行った。この分析はマレーシア研究者との共著という形をとり、「二つのレフォルマシ――インドネシアとマレーシアにおける民主化運動と体制の転換・非転換」というタイトルで『日本比較政治学会年報』への掲載が決まっている(2014年6月発行予定)。 また、スハルト権威主義体制下の議会における意思決定過程について、『アジア経済』(特集「権威主義体制における議会と選挙の役割」)で、「インドネシア・スハルト体制下の議会とコンセンサス形成」というタイトルで論じた。民主化後のインドネシアの意思決定の在り方と連続性を持つ「ムシャワラ-ムファカット」(協議と合意)という意思決定方法が、スハルト体制下で反体制勢力の取り込みにどのような役割を果たしたのかを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2013年中に発行されると見られていたインドネシア国防省の『国防白書』は発行されず(2014年3月現在、発行準備中との報道)、それによって当該年度に予定されていた「2013年国防白書」の分析を行うことはできなかった。しかしながら、2012年度に「2003年国防白書」及び「2008年国防白書」の分析に基づいた国防政策と政軍関係をめぐる論文をすでに執筆しているため、そこでの知見を合わせて、今年度中に発行されるであろう「2014年国防白書」の分析は本年度に行うことが可能である。2013年度は、国防政策の分析を行う代わりに、包括的なインドネシア民主化過程の分析や、比較の観点からのインドネシア民主化についての分析を行うことができ、合わせて議会における意思決定過程の問題にもアプローチすることができた。このことから、研究は「おおむね順調に進展している」と見ることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.政軍関係と国内紛争の問題に取り組む。現在、資料収集を行っている。少なくとも年度内に1本は論文を執筆したい。 2.4月6日に行われた総選挙、7月6日に行われる予定の大統領選挙の分析を行う。政軍関係の問題ともからめて分析する。少なくとも年度内に3回は研究会やシンポジウムなどで、このテーマについて発表を行うことになっている。 3.本年度に「2014年インドネシア国防白書」が発行された場合には、その内容について分析を行い、政軍関係や民主化との関連から論じる。これについても論文を執筆したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
分担研究者として参加している他の科研プロジェクトから、旅費として分担金を使用したことにより、本科研からの旅費の支出が少なくなったため。 物品費(主に書籍)と旅費に使用する予定。
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Research Products
(5 results)