2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530149
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
深町 英夫 中央大学, 経済学部, 教授 (00286949)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 中華民国 / 政治体制 / 議会 / 国民党 / 孫文 / 蒋介石 |
Research Abstract |
中国国内の研究協力者の都合により、中国における資料収集・調査を実施することができなかった。そのため予定を変更して、平成26年度に資料の調査・収集に赴く予定であったアメリカのスタンフォード大学フーバー研究所(カリフォルニア州パロアルト市)で、約2週間におよぶ中華民国期政治史関連資料の調査・収集を行なった。また、これに合わせてアメリカ東海岸の主要な研究機関・図書館である、ハーバード大学(マサチューセッツ州ケンブリッジ市)・コロンビア大学(ニューヨーク州ニューヨーク市)・議会図書館(ワシントンDC)に赴いて、やはり同様に中華民国期政治史関連資料の調査・収集を行なった。その結果として収集しえた一連の資料を現在、パート職員の手を借りて整理するとともに、分析・検討を加えているところである。 現時点における知見を広く学界に問うべく、フランス・パリで開かれたヨーロッパ中国学会の第19回隔年会議に、青山瑠妙(早稲田大学教授)・加茂具樹(慶應義塾大学准教授)・中村元哉(津田塾大学准教授)の各氏とともに、"Whither the Chinese Political Regime? Historical and Contemporary Perspectives"という分科会を組んで参加し、"Why Has a Jasmine Revolution Not Occurred in China? On the Centennial of the Xinhai Revolution"と題する報告を行なった。近現代を通観する政治体制史の議論に多くのヨーロッパの中国研究者が強い関心を示し、たいへん活発な討論を行ないえたことは大きな収穫であった。さらに、Bibliotheque universitaire des langues et civilisationsで資料の調査・収集を行なった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヨーロッパの中国研究者との交流を通じて、長期的・巨視的観点に立って行なう中国政治体制史研究の意義が、日本のみならず海外の学界においても広範な関心を呼びうることが明らかになった。 当初の計画とは若干順序・段取りに変更が加わっているものの、平成24年度に行なった中華民国政治史関連資料の調査・収集は、きわめて有意義かつ収穫の多いものであった。特にスタンフォード大学フーバー研究所において保存・公開されている「蒋介石日記」を集中的に閲覧できたことは、昨年度における最も大きな成果の一つであったと言ってよい。中華民国中期および後期の最高実力者であった蒋介石が、国民党の一党支配体制から議会体制への移行を理念としては受け入れながらも、現実の政治や国際関係(特に日中戦争や国共内戦)ゆえに独裁体制の維持・存続を図らずにはいられなかった事情を、鮮明に読み取ることができたためである。 今後の研究において、より長期的・巨視的な議論の上に今年度の成果を位置づける基礎を固めることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は中国出張が行なえなかったため、繰越金が生じる結果となったが、これを下記の研究活動の経費に充当する。 これまでの研究活動および学界動向の観察を通じて、日本及び中国の研究者の間で近現代政治体制史、特に議会史研究への関心が高まっていることが感じられた。そのため、自身の研究成果を披歴すると同時に、他の研究者との間で知見の交換を行なうべく、平成25年度にワークショップを開催したい。現時点では、日本から金子肇(広島大学教授)・水羽信男(広島大学教授)・李暁東(島根県立大学教授)・加茂具樹(慶應義塾大学准教授)・中村元哉(津田塾大学准教授)・杜崎群傑(九州大学助教)の各氏、中国から汪朝光(中国社会科学院近代史研究所副所長)・王奇生(北京大学教授)・孫宏雲(中山大学教授)の各氏を招聘し、「中国議会100年:政治体制と正統性調達の成否」と題するワークショップを、7月6~7日に開催することを計画している。 また、現代中国政治体制の歴史的性格を検討すべく、5月11日に「中共十八大と中国の今後」と題する座談会を開き、中国社会科学院マルクス主義研究院の訪日代表団を招く予定である。 なお、昨年度に実施できなかった中国への出張の可能性を探り、資料の調査・収集に継続して努めるつもりである。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
5月11日の座談会のために、会議費を支出する予定である。 7月6~7日のワークショップのために、海外招聘者の旅費および国内招聘者の宿泊費を支出する予定である。 その他、資料調査・収集のための図書費および出張旅費等を必要に応じて支出する。
|
Research Products
(3 results)