2014 Fiscal Year Annual Research Report
日本と欧米諸国の基礎的自治体における住民参加に関する制度と実際についての比較研究
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24530150
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
岡本 三彦 東海大学, 政治経済学部, 教授 (50341011)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 政治学 / 行政学 / 地方自治 / イギリス、ドイツ、スイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度(平成26年度)は本研究計画3ヵ年の最終年にあたるため、日本と欧米諸国の基礎的自治体における住民参加に関する制度と実際について、これまでの研究で残された課題について取り組んだ。まず前年度までの研究では、住民参加制度の実際について明らかにすべく、住民参加と「市民教育」の関係について先行研究を整理し、欧米諸国のうちアメリカ、イギリス、ドイツ、スイスにおいて現地調査を実施してきた。その結果、住民参加が「市民教育」にとって重要な機能を果たしていることを明らかにした。 本年度は、住民参加の「市民教育」の関係について、さらにこれまでの研究の適否を明らかにするために、イギリスとスイスで現地調査を実施した。とくにスイスの場合には、日本の学校教育において政治等を教える社会科(公民)のような授業がカリキュラムに組み込まれているのではなく、日常的に政治に関与できる、あるいは関心を持つことができる社会環境にあることが住民参加のインセンティヴになっていることが確認された。つまり、地域の政治に参加し、それによって自ら政治を行っている、自分の参加が政治に影響を与えているという「政治的有効性感覚」が高まり、さらに自主的な住民参加が可能になる、ということである。 全体として、欧米諸国においては、教科書によって政治を教えるというよりも、実際の住民参加を通じて「市民教育」を行っている、という傾向が強いといえよう。ただし、どの地域においても必ずしも参加率が高いというわけでなない。積極的に参加する住民がいる一方で、ほとんど関心を示さない住民もいる。しかも近年では後者が増える傾向にあることが問題となっている。地域の政治に対してとくに不満はない、というのがその理由の一つに挙げられるのかもしれないが、参加率の低下についての原因、理由の解明については、今後の残された課題であるといえよう。
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Research Products
(3 results)