2012 Fiscal Year Research-status Report
東欧・中国の民主化とトクヴィルおよびシュンペーターのデモクラシー論
Project/Area Number |
24530151
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松本 礼二 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (30013022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 浩 法政大学, 法学部, 教授 (10009821)
藁谷 友紀 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (20267462)
青山 瑠妙 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (20329022)
林 忠行 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (90156448)
石井 知章 明治大学, 商学部, 教授 (90350264)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トクヴィル / 中国 / 東欧 / 民主化 / シュンペーター |
Research Abstract |
1)全体の研究会を3度行った。各回のテーマと報告者は以下。①トクヴィル研究と東欧、中国の民主化との関連(松本礼二12/5/29)②中国におけるトクヴィル文献(石井知章12/9/29)③東欧民主化の問題点(林忠行12/11/24)。これらを通じて、本研究計画のテーマ設定、研究方法の妥当性について積極的な合意が得られた。 2)この間、特に中国の指導体制の交代とも関連して、トクヴィルへの関心が中国で顕著に高まっているという情報を得、研究分担者石井知章が二度にわたり訪中、中国におけるトクヴィル文献を調査、研究者と意見交換した。 3)本年度の研究活動の総括として、政治経済学会第4回研究会(13/3/2、早稲田大学)の特別セッションとして"Tocquevile and Post-Communist Democratization"と題する英語のコンファレンスを開催した。報告者は集中講義で日本滞在中だった米国のトクヴィル研究者J.T.シュライファー教授、研究分担者の林忠行、石井知章が討論を行い、代表者松本が司会した。当初、このコンファレンスにはA.クライウチュ(インディアナ大学)教授をも招聘する予定だったが、余儀ない事情で不可能になり、次いで李強(北京大学)教授の参加の承諾を得たが、ヴィザ手続きが間に合わず、欠席となった。ただし、両教授からペーパーが提出され、有益な討論が行われた。 以上を通じ、本研究テーマの重要性と研究方向の妥当性がいよいよ明らかになったといえる。なお、本研究に関連する各分担者の業績として、以下のものがある。 石井知章『文化大革命の遺制と闘う徐友漁と中国のリベラリズム』(徐友漁、鈴木賢、遠藤乾、川島真と共著、社会評論社、2013年3月)、青山瑠妙「中国の広報文化戦略ーーそのプレゼンスと重い課題」(『三田評論』159号、2012年)ほか。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、東欧と中国における民主化をトクヴィル(およびシュンペーター)のデモクラシー論の視座から検討することを目的とする。研究の1年目となる24年度は、トクヴィルのデモクラシー論が東欧と中国において実際にどれだけ浸透しているのかを当該地域における翻訳・研究書などの書誌データを用いて検証することを中期的な目標として設定していた。 24年度は、3度の研究会を行い、中国政治・東欧政治を専門とする研究分担者の各々から当該地域におけるトクヴィル研究の動向を論点整理したものを発表、意見交換することで、トクヴィル受容の実態に関する知見を当該地域の現実に即して代表者・分担研究者間で共有することができた。また、研究分担者による中国での文献調査も成果をあげた。今年度研究活動の総括としてのコンファレンス(Tocqueville and Post-Communist Democratization)は、シュライファー教授の参加を得、また政治経済学会の特別セッションとして広範な参加者による討論を引き出し、特に有意義であった。 以上の研究会、調査、コンファレンスを通じて、昨年度の目標はおおむね達成されたといえるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
中国におけるトクヴィルへの関心の高まりがこのところ様々に報道されていることは、本研究の問題設定の妥当性を証するものであり、今後もこの点についての情報収集と文献調査を進める。特にトクヴィルへの知的関心の方向、研究動向が中国国内の政治状況といかに関わるかに留意する必要があり、この点を含め、すでに接触のある李強教授など中国の研究者との情報交換、ネットワークの構築に努めたい。そのため、適当な時期に中国に出張して、資料・文献の調査、研究者との討議を行いたい。 東欧民主化との関連については、歴史的検討の段階に入っており、トクヴィルやシュンペーターの受容の問題というより、彼らのデモクラシー論に照らして、東欧民主化20余年の実績を評価することが課題になろう。この点についても現地調査を行い、文献の収集、海外研究者との意見交換を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
中国及びヨーロッパにおける資料・分権の蒐集、現地調査と海外研究者との討論は本研究の推進に不可欠だが、昨年度は諸般の事情により実施できなかった。今年度以降、適当な時期に中国及びヨーロッパへの海外出張を行う積りである。また、海外研究者の短期招聘も必要があれば行いたい。 昨年度同様に定期的に研究会を行うので、そのための国内出張費、研究補助者への謝金などの使用は昨年に準ずる。
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Research Products
(5 results)