2012 Fiscal Year Research-status Report
経済危機以後のEU新成長戦略と高齢者の社会保護ガバナンス
Project/Area Number |
24530153
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
福田 耕治 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (20165286)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 八寿絵 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 招聘教員 (60625119)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | EU経済危機 / 欧州債務危機 / 労働市場改革(EU諸国と日本) / 高齢者政策(EU諸国と日本) / 社会保護(EUと日本) / 年金(EU諸国と日本) / 医療保障(EU諸国と日本) |
Research Abstract |
本研究は、「経済危機以後のEU新成長戦略と高齢社会保護システムの研究」をテーマとし、世界経済・金融危機の影響を踏まえ、超高齢社会におけるEUの新成長戦略と社会保護の在り方に焦点をあてて分析し、その問題点と課題を明らかにすることを目的とする。この目的を達成するため、平成24年度は、EUの新成長戦略「欧州2020」とEUとその加盟国の社会保護に関する文献調査、具体的には、関連のEU公式文書(第1次資料)、報告書、関連研究図書、ジャーナル等の研究論文を収集した。また国際シンポジュームやワークショップの開催時などを活用し、欧州経済危機を研究している内外の研究者、労働市場改革を専門とする欧州の教授、欧州委員会総局の政策担当者と面談し、聞き取り調査も実施した。平成24年度の研究成果の一部は、10月21日(日)日本国際政治学会 2012年度研究大会(於:名古屋国際会議場)において、 福田耕治「EUガバナンスの射程ー欧州債務危機とEU社会保護ガバナンス 」のテーマで研究報告した。経済・金融危機が浮き彫りにしたEUの構造的弱点を、欧州委員会は、就業率、研究開発投資、教育水準の向上、貧困対策という分野で数値目標を掲げて改善しようとするが、この新戦略を達成するため、各加盟国の財政健全化のための「EU経済ガバナンス」と呼ばれる欧州金融安定化制度や各国財政の監視制度を構築した。欧州債務危機への対応と経済ガバナンスの制度化の動向を英語論文として執筆し、欧州の研究者と共著の研究図書(E&E)より出版を予定している。本研究計画では、日欧の成長戦略に共通する深刻な課題である「雇用」の改善について、高齢者の貧困問題ともかかわる「雇用」と社会保護、労働市場改革の問題に焦点を絞り、英語論文にまとめ、海外出版社へ原稿を提出することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
科研費研究テーマに関する欧州債務危機と社会保護についての平成24年度の研究目標はほぼ完全に達成できた。研究課題のテーマを含む著書としては、 福田耕治『国際行政学ー国際公益と国際公共政策・新版』 有斐閣 320頁 2012年を公刊した。また欧州ガバナンスとEU機構に関しては、福田耕治(共著)『EU・西欧』 「リスボン条約の制定と欧州ガバナンス」(第1章、単著)押村高・小久保康之編著 出版社 ミネルヴァ書房 、15-32頁、発行年月 2012年および福田耕治(共著)辰巳浅嗣編『EU・欧州統合の現在』「欧州委員会」(単著)創元社 68-74 頁、2012年を出版した。さらに本研究テーマを分析していく上で関わってくるEUの新しい制度の特質と課題についても、研究論文、福田耕治「欧州オンブズマン制度とEU行政の適正化ーリスボン条約およびEU基本権憲章による改革ー」 『季刊行政管理研究』 No.139 号 4-12012年 9月を発表した。研究分担者と共著で、3・11以後の高齢者医療保障問題とも関わる日本の抱える問題についてイギリスの医学研究誌に投稿し、下記の論稿がアクセプトされ、Webおよび冊子版の両方で刊行された。 Yasue Fukuda, Koji Fukuda"Fukushima nuclear power plant accident: issues on radiation monitoring and its relation to public health ”(査読付き) Journal of Epidemiol Community Health 2012 Dec;66(12):1083-4. 2012 以上のことからも明白なように、当初の研究計画はほぼすべて達成できたことを確認し、さらに本研究に関係する基礎研究まで進展させることができた評価できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度以降は、日欧の成長戦略にかかわる科学技術研究と社会保護の具体的施策や財政措置、サーベイランス・システムの制度・機能・政策情報ネットワークが、現在どのような形でEU域内およびグローバルに存在し、いかなる程度有効に機能しているのか、日本の成長戦略や社会保障政策の策定・実施にどのように活かされているのかを考察する。文献による調査と分析 および現地(海外)ヒアリング調査を行うことにより、さらに詳細なデータと情報を収集し、分析を精緻化させていく予定である。なお、すでに研究が進捗した部分について、研究代表者と研究分担者は、それぞれ英語論文にまとめ、海外の研究図書出版社へ原稿提出済みとなっており、2023年度中(2014年初頭)に欧州の研究者と共著で英文研究図書(E&E)として出版を予定している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、研究図書資料購入費以外では、現地(海外)ヒアリング調査費用および本研究課題の成果について、国内学会および海外の学会等で研究報告を行う予定であるため、特に海外出張旅費、宿泊費等に研究費を活用する計画である。
|
Research Products
(7 results)