2015 Fiscal Year Annual Research Report
暴力に抗するラテンアメリカ社会:リージョナル・ガヴァナンス構築の視点から
Project/Area Number |
24530160
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松下 冽 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (50229465)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 越境型暴力 / 新自由主義型グローバル化 / 人間の安全保障 / 民主的ガヴァナンス / 萎縮する市民社会 / 国家ー市民社会関係 / ローカル・コミュニティ / グローバル・サウス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、本研究課題「暴力に抗するラテンアメリカ社会:リージョナル・ガヴァナンス構築の視点から」の最終年度であった。この研究課題は、グローバル化した今日的な緊急のテーマであると同時に、ラテンアメリカのみならず世界的な解決を要請されるテーマでもある。それゆえ、『世界開発報告2011』では「紛争、安全保障と開発」のテーマが設定され、暴力の連鎖を打破するためには、ガヴァナンスの脆弱性、貧困、暴力の反復的な連鎖の克服を緊急課題に挙げられた。この世界銀行の課題と本研究課題とは同じ問題意識を持ち、市民社会と人間の安全保障のアプローチを重要する点で類似する視角をもっていた。 本研究課題を具体的に遂行するために、ラテンアメリカの多くの地域で現地調査を行う機会が頂いた。平成25年度はメキシコ・シティー、カラカス、キト、ボゴタを、そして平成26年度はアルゼンチン、チリを訪れた。平成27年度はメキシコ・シテイーとハバナを調査した。その他、4年間の研究機関にはブラジル、ペルー他の現地調査を経験できた。こうした現地調査を踏まえて、越境型暴力、麻薬や武器のの拡がりが市民社会を萎縮させているメカニズム、ポピュリズム型民衆動員の現状、新自由主義的社会政策に対する市民の反応、民主的ガヴァナンス構築に向けた「左派」政権と社会運動との関係などを確認できた。平成27年度の具体的な研究成果は以下のものであるが、それ以外に印刷中の6点ほどの研究成果がある。 ①「「南」から見たグローバル化と重層的ガヴァナンスの可能性」(諸富徹編『資本主義経済システムの展望』岩波書店、2016年2月、167-202ページ)。 ②「グローバルな世界における<サウス>のゆくえ」(『立命館国際研究』29巻1号、2016年6月発行予定)
|
Research Products
(6 results)