2013 Fiscal Year Research-status Report
近代国際関係と地域システム変容の研究・東アジアを中心に
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24530166
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平野 聡 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (00361460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大沼 保昭 明治大学, 法学部, 教授 (50009825)
渡辺 浩 法政大学, 法学部, 教授 (10009821)
新田 一郎 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40208252)
茂木 敏夫 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (10239577)
中溝 和弥 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (90596793)
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Keywords | 東アジア / 政治外交史 / 政治思想史 / 国際法 / 比較地域研究 / 地域秩序 / 近代文明 / 国際研究者交流(英国・中国・韓国) |
Research Abstract |
近現代の国際関係に関与する各国は、一見すると国際法に基づく外交関係を採り入れているにもかかわらず、実際にはその結果生まれた関係そのものに対して違和感や反発を感じていることが少なくない。のみならず、その背景にある歴史そのものが、国ごとに異なる文脈のもとで新たに解釈され、関係を悪化させる原因にもなる。 当研究は、このような現実をより客観的・整合的にとらえるにはどうすれば良いのかという問題意識から出発し、とりわけ東アジアの海域を取りまく国際関係を主な対象として、世界の様々な文化圏の事例をも比較の視座に置くことにより、近代国際関係・国際法秩序と伝統的な自意識・地域秩序の摩擦の発生原因と緩和策を探ろうとしているところである。そこで、2013年4月6日には、広く世界の他地域を研究する研究者、及び諸外国の日本・東アジア研究者も招いて研究集会を開催し(2012・2013年分の科研費は主にこの研究会の開催のために用いた)、比較の視座から東アジアという地域の歴史的問題点を探るとともに、自意識・秩序観の深刻なズレが拡大再生産されている実情をどのように歴史記述化・分析概念化するのかという困難な課題を共有したうえで、各自研究を推進してきた。 その成果を踏まえ、昨年末からは新たな基盤(A)研究「多極化する世界への文際的歴史像の探求」(代表・大沼保昭)をスターさせるに至り、今後当研究は大型科研のサブ研究としての意味合いを持ちつつ最終年度を迎えることになった。しかし、既に研究会の開催を通じて共有された問題意識を踏まえて、3年間の研究をまとめの段階に持って行きたいという意欲が代表者・分担者に共有されており、最終年度の予算もこのような方向性のもとで執行してゆきたい。とくに研究代表者(平野)は、一般向けに東アジアの外交・歴史問題を説く単著を既に完成させ、今後さらに追加で単著を準備・執筆して行きたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
比較研究の必要を強く感じる研究者が集う研究会を開催し、世界史全般と個別地域の関係性を鋭く問う討論を積み重ねて問題意識を強く共有するという点においては、有意義な成果を挙げているものと考える。また、そこで得られた知見を論文などとして表現するという点でも、徐々に成果を挙げ始めている。とはいえ、研究代表者・分担者それぞれに、本務たる教育活動にも追われているため、何とか落ち着いて研究を深める時間を確保する必要を感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も、上述の研究会形式による比較研究・問題意識深化共有の機会を、合宿・研究会形式で設定することによって、共同研究の成熟を期する計画である。また、単著などのかたちで成果を問うことができるよう作業を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究会を開催する機会が、関係者多忙のため当初期待したほど持てず、書籍購入も順調に行っているとはいえなかったため。 最終年度にあたって着実に執行するため、研究会開催や図書費としての利用についてなるべく早めに計画を立てることに努めたい。
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Research Products
(15 results)