2013 Fiscal Year Research-status Report
ドイツ政治外交史像の再検討―「伝統」と「革新」の視角から
Project/Area Number |
24530177
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
板橋 拓己 成蹊大学, 法学部, 准教授 (80507153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 洋介 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 講師 (50506152)
妹尾 哲志 専修大学, 法学部, 准教授 (50580776)
葛谷 彩 明治学院大学, 法学部, 准教授 (90362558)
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Keywords | 政治学 / 国際関係論 / 外交史 / 西洋史 / ドイツ |
Research Abstract |
本研究は、三年間をかけて、近現代のドイツ政治外交史を、史料の実証的分析に基づきつつ、外交路線の「伝統」と「革新」という視角から再検討しようとするものである。二年目である本年度の目標は、定期的な研究会開催を中心とした研究交流と、資料収集を中心とした個々の研究の進化であった。本年度の研究実績は、大別して以下の四点にまとめられる。 1.研究会において、個別の研究と全体の枠組みを調和させること。2013年8月27日および2014年3月22日に成蹊大学にて第3回および第4回全体研究会合を開催し、飯田洋介「新航路政策にみるドイツ外交の「伝統」と「革新」」と妹尾哲志「ブラントの「東方政策」と対ポーランド関係」、および北村厚「シュトレーゼマン外交における「伝統」と「革新」」の研究報告と全体討論を行い、論点を深めた。 2.史料の収集と発信。研究代表者・分担者が協力して、ドイツ政治史関連の史料を収集した。とくに基本資料とアデナウアー関連史料については、整理して研究会ホームページに掲載した。 3.研究拠点のさらなる整備とネットワークの形成。上述のように文献情報などをアップするホームページを立ち上げた。また、日本国際政治学会やドイツ現代史研究会などで本研究会メンバーが積極的に研究成果を報告した。 4.個別研究の深化。上記のように全体の問題意識をすり合わせつつ、各人が個別の研究を深化させた。その結果、たとえば研究代表者の板橋拓己はアデナウアーに関する著作を、また研究協力者の北村厚はヴァイマル共和国時代のドイツ外交に関する研究書を、2014年4月~5月に公刊できる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、三年間をかけて、近現代のドイツ政治外交史を、史料の実証的分析に基づきつつ、外交路線の「伝統」と「革新」という視角から再検討しようとするものである。基本的な研究方法は、①重要一次史料・二次文献の収集・整理・公開、②個別研究の深化、③各研究の比較・総合である。なかでも本研究の特色は、少人数の組織による緊密な情報交換と相互対話である。二年目たる本年度の目標は、定期的な研究会開催を中心とした研究交流と、資料収集を中心とした個々の研究の進化であった。交付申請書の平成25年度研究実施計画と照らし合わせた以下の諸点に鑑み、本研究は「当初の計画以上に進展している」と自己評価できよう。 1.研究会合での理論枠組みと論点の共有。予定通り年2回、全体研究会合を開催し(2013年8月27日、於・成蹊大学;2014年3月22日、於・成蹊大学)、研究メンバー間で綿密な討議を行った。 2.史料の収集と発信。研究代表者・分担者が協力して、ドイツ政治史関連の史料を収集した。とくに基本資料とアデナウアー関連史料については、整理して研究会HPにアップした。 3.研究拠点のさらなる整備とネットワークの形成。上述のように文献情報などをアップするホームページを立ち上げた。また、日本国際政治学会2013年度大会や、ドイツ現代史研究会などで研究成果の報告を行い、問題意識を学界に提示した。 4.個別研究の深化。上記のように全体の問題意識をすり合わせつつ、各人が個別の研究を深化させた。その大きな成果として、2014年5月刊行予定の板橋拓己『アデナウアー』(中央公論新社)や、2014年4月に刊行される北村厚『ヴァイマル共和国のヨーロッパ統合構想』(ミネルヴァ書房)がある。この単著2冊の刊行が、本研究が「当初の計画以上に進展している」と自己評価できる最大の根拠である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も、研究会合を中心とした研究交流を継続しながら、個別研究の深化に努める。また、次年度は最終年度であるため、これまでの研究蓄積を基礎に、研究成果の本格的なとりまとめに入る。 個別研究の分担は次の通りである。飯田洋介(研究分担者)は、19世紀後半のビスマルク外交を象徴する「勢力均衡(Gleichgewicht)」の内実を、のちのヴィルヘルム時代の「世界政策(Weltpolitik)」における変容も視野に入れて検討する。北村厚(研究協力者)は、ヴァイマル共和国時代のシュトレーゼマンの「協調(Verstaendigung)」外交について、東西間の「ブランコ外交」という後の時代の批判も視野に入れて検討する。板橋拓己(研究代表者)は、第二次大戦後の西ドイツにおけるアデナウアーの「西側統合(Westintegration)」外交における「伝統」と「革新」の様相を検討する。妹尾哲志(研究分担者)は、1960年代後半から70年代にかけてのブラントによる「東方政策(Ostpolitik)」における「伝統」と「革新」の様相を検討する。国際政治思想・ドイツ外交論を専門とする葛谷彩(研究分担者)は、20世紀ドイツにおける外交論、とくに知識人らによる「外交論壇」のなかの「伝統」と「革新」の位相を検討する。 以上の分担研究を進めながら、平成25年度は次の三つの作業を予定している。第一は、定期研究会合の開催である。例年通り半年に一回、視座を摺合せ、研究の進捗状況を相互確認する研究会合を開く。 第二は、ドイツ政治外交史アーカイヴの構築と公開である。前年度に引き続き、史料や文献情報を「ドイツ政治外交史アーカイヴ」として蓄積し、全国の研究者の利用に供するとともに、順次ウェブ上で公開していく。 第三は、総括としての『ドイツ政治外交史における「伝統」と「革新」』と題した著作の刊行の準備である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2014年度もドイツに研究代表者(板橋)が史料収集のため出張することが必要になったため、2013年度の支出を若干抑え、次年度に充てることにした。 2014年度夏季における研究代表者(板橋)のドイツ・コブレンツ連邦文書館への史料収集のための旅費に次年度使用額の一部を充てる。
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Research Products
(10 results)