2014 Fiscal Year Research-status Report
グローバル化時代の民主主義の赤字に対応する市民参加ツールの研究
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24530178
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
目加田 説子 中央大学, 総合政策学部, 教授 (00371188)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 民主主義 / 赤字 / 市民 / 社会的責任 / グローバリゼーション |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は、「民主主義の赤字」を巡る議論について、1)民意を具現化する試みとして注目された現象について分析し、2)民主的プロセスを補完するツールについて具体例の検証に着手した。 1)については、スコットランド並びにスペインのカタルーニャ地方で実施された分離独立を目指す住民投票に注目・分析した。スコットランドの独立問題は、欧州連合からの離脱を問うという英国の将来像を揺らぐ問題に発展したこと、スコットランド独立派は同域内にある原潜の母港撤廃を求めており国家の安全保障に影響を及ぼす可能性を有すること、住民投票では16歳から投票権が与えられる等「民意」の母数が拡大していること等が、今後の「民主主義の赤字」を埋めるツールの可能性と課題を浮かび上がらせる上で示唆的であった。同様に、スペインの住民投票は、国家を超えて地域連合(EU)への帰属意識が明確になっていること、政府が反対する中、非公式ながら高投票率(4割)だったこと等から、平和的・民主的な意見表明と政策プロセスへの反映が今後の課題として浮かび上がった。 2)については、複数の補完的ツールについて長短所・コスト・フィーシビリティ等の検証を行った。その際、継続的且つ実践的に改良される古典的ツールと、新たに開発・実験が進められるデジタル技術を用いたツールについて検証を開始した。前者については、グローバル企業の社会的責任投資を求めるNGOの反投資運動についてスーダンのダルフール紛争を事例に検証した。反投資はアパルトヘイト撤廃運動時より用いられてきたツールである一方、国境を超えて資本や労働市場に影響を及ぼす企業の社会的責任を問う声の高まりと共に、再注目されている実態が明らかになった。一方、後者についてはオープン・ソースとしてネット上で公開されているツールを中心に分析を進めているが、未だ成果の確認・検証には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、文献調査や事例の抽出・精査等が進み、研究成果の学会発表も行っている。一方、海外における現地調査の実施が講義期間と重なり十分に進んでいない為、2015年度はその点に集中して取り組んでいく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もこれまで通り、文献の精査、国内外の調査・ヒアリングを進める。前述の通り、2015年度は海外調査を積極的に進めて行く予定である。また、本研究の最終年にあたることから、これらの研究に基づいて成果を論文執筆の形態をとりながら進めるとともに、所属する学会などにおいて研究発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
主に海外調査が講義期間を重なったこと、先方の都合でスケジュール調整が進まなかったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度は、文献やネット等により収集した情報・知見を下に、海外調査・ヒアリングを行う予定である。
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