2012 Fiscal Year Research-status Report
Financial Governance of UNHCR
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24530184
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toyo Eiwa University |
Principal Investigator |
滝澤 三郎 東洋英和女学院大学, 国際社会学部, 教授 (30554935)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Partnership |
Research Abstract |
平成24年度における主要な予定は、関連書籍の検討などを通して理論枠組みの整理、仮説形成とリサ-チペーパーの作成であった。この点については予定以上の進展があり、仮説形成の前提となる理論的枠組みの整理の中で、下に述べるように、三つの論文の理論枠組みに使われた。 UNHCRのプログラム予算書と関連文書、UNHCRの非公式協議や常設委員会、執行委員会での討論、ニューヨークの国連行財政諮問委員会ACABQ、総会第5委員会、合同監査団JIU、外部監査の資料の他、アメリカや日本、EUなど主要加盟国、難民を受け入れている南側諸国の対UNHCR政策文書、さらにUNHCR評価部の報告書、年次UNHCR/NGO協議会の報告書などの収集と分析には遅れがある。予算書と非公式協議文書の収集と分析は実施されたが、そのほかのものについては、いまだ作業が続いている。 ウエブで入手できない幹部会の議論や非公式会合における加盟国の発言は、幹部とのインタビューを利用する予定であったが、これについては2013年春のジュネーブ・ウイーン出張の中でデータの収集ができた。 総じて、研究の理論枠組みの整理では予期以上の進展があったが、各種資料の分析では遅れが見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
24年度における具体的成果としては、理論的枠組みの整理とその関連論文への適用がある。UNHCRの機能についての理解をするための理論的枠組みを整理する中で、構成主義 Contructivism、国際公共財理論 Public Goods Theory、レジーム理論 Regime Teoryが有効であるところ、関連書籍のレビューにより、それらについての整理ができ、 それぞれ本研究と並行して作成中の3つの論文の概念枠組みとして使われた。 平行研究の成果物として、3つの論文にまとめられつつある。構成主義と国際公共財理論は、2010年から日本政府が開始したミャンマー難民の日本再定住計画について応用され、それぞれ成蹊大学の墓田教授編集の国際強制移動にかかる教科書、大東文化大学の小泉教授の調整による都市難民プロジェクト所収論文(2013年に国連大学から英文で出版予定)に掲載予定である。また、レジーム理論による概念枠組みは、6月に日本国際連合学会の「国連研究」第15号に掲載予定の論文(法の支配と難民・国内避難民保護体制の進展)に適用されている。 これらは「研究目的」の達成について重要な進展であり、十分な成果があげられたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方向は、既に適用を見た3つの理論モデルをもとに、さらに資料の収集と分析を通して仮説の検証と、人道主義と国際政治の狭間でナビゲーションをするUNHCRの動態を明らかにする。 特に、UNHCRの予算書の分析を通してその近年の成長と変質ぶり、その原因を明らかにする。 また、当初の研究計画にはなかったが、難民支援の現場への調査研究旅行を加えて、UNHCRの事業実施の困難さを測るとともに、現地における受益者(難民)や、国際機関・NGOなど関係機関のUNHCRへの評価を得て、UNHCRの政策の実効性を探る。具体的には、今や最大の人道危機であるとともに、中東における国際政治への悪影響をもたらしうるシリア情勢におけるUNHCRの役割について調査するため、トルコ、ヨルダン、レバノンの1ないし2カ国への現地調査を実施する。 その費用については、初年度における国外出張旅費が予定よりかなり低かったため(宿泊代)特段の予算変更措置を取らなくても可能である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度の研究計画の遅れのため2年度への研究費の持ち越しが出ている。現状と予定を考えると、3年度への持ち越しが多少出る可能性がある。
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