2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530194
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山崎 剛志 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (50319141)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | レント・シーキング / レース / パテント・レース |
Research Abstract |
レント・シーキングの動学的モデルについて研究することが本研究の目的である。より具体的には、動学的モデルを分析することでレント・シーキングの理論モデルを特徴付けるcontest success functionの望ましい関数形について考察し、動学的に正当化しうるcontest success functionを持つ動学ゲームの均衡の存在、一意性、安定性についても研究することを考えている。また、レント・シーキングの様々な応用モデルについても研究し、応用モデルの理解を深めながら、レント・シーキングの純粋理論モデルを理論的により深く研究してみたいと思っている。 上で述べたレント・シーキングの動学的モデルの研究を進めるために、平成24年度は動学的なレースのモデルについて研究を行った。綱引き競争のようなものをレースと呼ぶが、パテント・レースもレースの例である。レースとレント・シーキングには何の関連もないように思えるかも知れないが、実は非常に密接な関連があり、ある条件の下では二つのゲームは戦略的に同値になることが知られている。そこで、平成24年度は動学的なレースのモデルについて研究を行うことによって、動学的レント・シーキングの理論モデルについて研究を行ったことになる。動学ゲームには幾つかの均衡概念があるが、平成24年度は主としてオープン・ループ均衡とよばれる均衡の性質を分析した。研究成果の一部は「Asymmetry Between Two Players in a Simple Model of a Race with Uncertainty」というタイトルの論文にまとめ、平成25年3月にアメリカ合衆国のニューオーリンズで開催されたPublic Choice学会設立50周年記念コンファレンスにおいて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも述べたように、ある条件の下では、レント・シーキングとレースは戦略的に同値であり、平成24年度は動学的なレースのモデルについて研究を行った。研究成果の一部は「Asymmetry Between Two Players in a Simple Model of a Race with Uncertainty」というタイトルの論文にまとめ、平成25年3月にアメリカ合衆国のニューオーリンズで開催されたPublic Choice学会設立50周年記念コンファレンスにおいて報告した。この論文で研究したことを土台にして様々な方向に研究を発展できそうである。例えば、同じ動学レースのモデルでクローズド・ループの均衡の性質について分析することなどを考えている。本研究の初年度において、このような様々な方向に研究を発展させうる基礎モデルを得ることができたので、初年度から本研究を順調にスタートすることができたように思える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要と現在までの達成度の項でも述べたように、本研究の研究成果の一部は「Asymmetry Between Two Players in a Simple Model of a Race with Uncertainty」というタイトルの論文にまとめ、平成25年3月にPublic Choice学会設立50周年記念コンファレンスにおいて報告できた。今後は、まずはこの論文の完成度を高め、この論文で研究したことを土台にして様々な方向に研究を発展させる予定である。例えば、既に述べたように、この論文と同じ動学レースのモデルでクローズド・ループの均衡の性質について分析することを考えている。限界費用を削減するようなパテント・レースが上記の論文のモデルの例になるが、需要を開拓するようなパテント・レースは例とはならない。需要を開拓するようなパテント・レースをより一般化したレースで同様な分析を行うことも考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度から、上でも述べたように、Public Choice学会設立50周年記念コンファレンスにおいて報告した「Asymmetry Between Two Players in a Simple Model of a Race with Uncertainty」という論文の完成度を高め、この論文で研究したことを土台にして様々な方向に研究を発展させる予定である。それらの成果をなるべく早くワーキング・ペーパーなどの論文の形にまとめ、研究会、学会で報告したい。完成度が十分に高まれば、国際雑誌に投稿してみたい。そのように研究をすすめるために、研究会、学会の報告のための旅費、学会参加料、国際雑誌投稿料などに研究費を使うことを考えている。
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