2014 Fiscal Year Annual Research Report
不公平回避選好と囚人のジレンマにおける内生的リーダーシップのゲーム理論研究
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24530198
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
末廣 英生 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (30162837)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 不公平回避選好 / リーダーシップ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、これまでの研究成果をまとめてディスカッション・ペーパー"Leadership in Prisoner's Dilemma with Ineqquity-Averse Preferences"を執筆し、神戸大学経営学研究科ディスカッションペーパー・シリーズNo2014-9としてオンライン公開した。さらにその内容を精査して改訂をすすめ、改訂論文を査読付国際学術雑誌に投稿した。投稿論文は平成26年度末時点でレフェリー中である。 平成24年度、25年度、26年度の3年間にわたる研究期間全体を通じて、「プレーヤーが不公平回避選好を持つとき、囚人のジレンマで選択機会をプレーヤー自身が選べる場合には自発的リーダーシップによってジレンマが解決できる可能性があることを理論的に明らかにする研究」に取り組んだ。囚人のジレンマの先行実験研究では、被験者に選択機会を選ぶ自由を与えると、多くではないが無視できない割合の被験者が他の被験者に先んじて行動することが報告されている。しかし、それがなぜ起こるのかは、理論的に全く未解明であった。本研究は、選択機会が2回ある囚人のジレンマゲームで、不公平回避選好の回避度の値がプレーヤー本人の私的情報である情報不完備ゲームの逐次均衡を研究した。そして、(1)均衡の存在条件(2)利得パラメーターの比較静学(3)リーダーシップ戦略をとるプレーヤーの不公平回避選好のあり方、の3つを明らかにすることができた。 (3)の成果では、ある利得の囚人のジレンマでは特定の不公平回避選好の持ち主がリーダー行動をとり、別の利得では別の特定の不公平回避選好の持ち主がリーダー行動をとることがわかった。これは、「リーダーシップ行動をとるタイプ」というものが1つ存在するのではなく、ジレンマの利得状況がリーダーを決めることを意味し、リーダーシップと個人特性の関係に新視点を提供する。
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