2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530199
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宮原 泰之 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (80335413)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 無限回繰り返しゲーム / 観測費用 / 情報収集 / 囚人のジレンマ / 効率性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、繰り返しゲームの理論モデルの分析結果と経済実験で得られる結果が整合的であるかどうかを確かめることである。本研究では特に囚人のジレンマ・ゲームにおいて、プレーヤーが他のプレーヤーが選択した行動を観測する場合に費用が伴うような状況に着目している。既存研究では様々な情報構造、つまり、観測構造について、どのような条件の下でフォーク定理や効率性定理が成り立つのかが研究されてきた。本研究が着目しているような観測費用を考慮した研究は非常に少ない。この点において意義のある研究であると言える。また、関連研究と比較して、本研究が分析する観測費用を伴う囚人のジレンマ・ゲームは情報的に非常にきつい制約のある状況であるので、フォーク定理や効率性定理を導出することが難しい問題と言える。本年度はこのモデルにおいて効率性定理が成り立つための十分条件を導出した。情報的にきつい制約の下で、プレーヤー間の直接のコミュニケーションが可能でないとしても、プレーヤー達の行動と関連のない公的なランダマイゼーション・デバイス(サンスポット)が存在すれば効率性が達成できることがあるという結果は興味深いと言える。 また、本研究が着目した情報構造と関連した情報構造に関する研究もおこなった。それは、プレーヤー達が行動を選択するとある確率で自動的に相手が選択した行動がわかり、ある確率で相手が選択した行動を知ることはできないというものである。相手の行動がわからない場合には観測すれば、観測費用ゼロで相手が選択した行動を知ることができ、観測しなければ、相手が選択した行動に関する情報は全く得ることはできない。このような観測構造において、一意のナッシュ均衡を持つような段階ゲームの有限回繰り返しゲームにおいてさえ、非自明な逐次均衡が存在することがあるという非常に興味深い結果を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に実験で検証する理論モデルの分析結果を導出したが、分析に間違いを発見したために、本年度は理論モデルの分析の修正を行った。修正に時間がかかったが概ね分析は完成したと言える。この遅れは次年度に取り返すことができるものと予想している。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの達成度」で説明したように、理論モデル分析の修正が概ね完成したので、修正した理論モデルを実験で検証することになる。
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Causes of Carryover |
「研究実績の概要の入力」の「現在までの達成度」の項で説明したように本年度は理論モデルの分析結果の修正に時間がかかったために実験をすることができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
理論モデルの分析結果の修正が概ね完成したので、実験を実施する。
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