2012 Fiscal Year Research-status Report
外生的な動的不確実性と情報の非対称性が存在する動学ゲームの解析
Project/Area Number |
24530200
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
渡辺 隆裕 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 教授 (70220895)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / オランダ / ティルバーグ大学 / ゲーム理論 / 離散均衡 / リアルオプション |
Research Abstract |
外生的な動的不確実性とプレイヤー間の情報の非対称性が存在する動学ゲームの理論を発展させるため,これまでの研究成果のサーベイを行った.この結果,理論を発展させるには,戦略が有限(離散)であるときの動学ゲームのモデル構築と,その数理的な性質の解明が重要であるという結論に達した. このため本年度の研究は,有限n人ゲームの離散均衡(純粋戦略均衡)の存在条件についての研究を重視した.研究代表者は,この分野で国際的に大きな貢献をしているオランダティルバーグ大学のDolf Talman教授と連絡を取り,4月からオランダに3ヶ月滞在し共同研究を行った(国際研究者交流).その結果,離散均衡の存在を導くための定理となる"Discrete Intersection Theorem"と呼ばれる定理の証明に成功した(なお予想以上の研究の進展に対し,滞在費を補助するため次年度研究費の前倒し請求を行った).この結果は,現在論文として執筆中である. また本大学の離散均衡点の研究者である飯村卓也氏とも共同研究を行い,対称ゲームにおける均衡存在の十分条件を得た.この結果は,第18回DCコンファレンス,日本OR学会2012年度秋季研究発表会,SING8(第8回スペイン・イタリア・オランダゲーム理論学会),EURO2012(2012年ヨーロッパOR学会)などで発表した. リアルオプション・ゲームの従来の結果を,離散時間モデルとして解析するという目標に関しては,生産コストが時間により逓減する消費耐久財の購入調整ゲームとして具体化し,京都大学の関口格氏と共同研究を行なっている.現在は,不確実性と情報の非対称性がない状態での分析に成功している.来年度以降,不確実性と情報の非対称性がある状況へ拡張する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,研究のサーベイをする程度の目標であったにもかかわらずオランダティルバーグ大学に3ヶ月し共同研究を行い,離散均衡の存在を導くための定理となる"Discrete Intersection Theorem"と呼ばれる定理の証明に成功している.しかしながら,結果をまとめて論文発表するにはいたっておらず,来年度は,論文の完成が必至である. また,飯村卓也氏とも共同研究を行い,対称ゲームにおける均衡存在の十分条件を示すこともでき,結果を第18回DCコンファレンス,日本OR学会2012年度秋季研究発表会,SING8(第8回スペイン・イタリア・オランダゲーム理論学会),EURO2012(2012年ヨーロッパOR学会)などで発表している.これらの研究については,当初の研究計画以上に大いに進展している. 一方,当初の大きな目標であったリアルオプション・ゲームやオークションへの応用は必ずしも進んでいるとはいえない.したがって,総合評価はおおむね順調に進展しているとした.
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Strategy for Future Research Activity |
離散均衡の存在条件に対しては,"Discrete Intersection Theorem"に関する論文を完成させなければならないが,帰国以降,オランダにいるDolf Talman教授と緊密には打ち合わせができないため滞っている.次年度は,Dolf Talman教授との打合せを実現し,論文完成を目指す必要がある. 京都大学関口格氏と,リアルオプション・ゲームの従来の結果を,離散時間モデルとして解析するという目標に関して,生産コストが時間により逓減する消費耐久財の購入調整ゲームとして具体化し,不確実性と情報の非対称性がない状態での分析に成功している.次年度以降は,これを不確実性と情報の非対称性がある状況へ拡張する予定である. 本大学の飯村卓也氏との離散均衡の存在条件に関する研究は,大きく発展しているので,次年度もこれを積極的に推進する.海外の学会で発表し,研究間の情報交換を活発に行うとともに,研究成果を知らせることに務める. 全体として,情報の非対称性についての研究の進展が遅れている.これを考慮して,オークションに関する研究や,リアルオプションとシグナリングを合わせた研究に関し,一層,研究を進める予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度も共同研究を念頭に置いた国際研究者交流や,本研究成果を国際学会で発表して普及すると共に更なる発展を目標とした国際的な情報交換を中心に研究をを使用する. オランダ・ティルバーグ大学のDolf Talman教授との研究打合せは,論文完成と次の共同研究のため必要なので,オランダへの渡航をする予定である. 本大学の飯村卓也氏との離散均衡の存在条件に関する研究は,大きく発展しているので,次年度もこれを積極的に推進する.海外の学会で発表し,研究間の情報交換を活発に行うとともに,研究成果を知らせることに務める. 研究成果の発表は,国内では日本OR学会,DCコンファレンスで行う予定である.海外では,ヨーロッパOR学会EURO(今年はアメリカOR学会INFORMSと共同開催予定)での発表を予定している.
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Research Products
(8 results)