2014 Fiscal Year Annual Research Report
外生的な動的不確実性と情報の非対称性が存在する動学ゲームの解析
Project/Area Number |
24530200
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
渡辺 隆裕 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 教授 (70220895)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リアル・オプション / 戦略的投資 / 離散時間 / 純粋戦略均衡 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,本研究の2つの課題の1つ「リアルオプションゲームの離散時間モデル」に焦点を絞って研究を行い2つの成果を得た. 1つ目の成果は,有限n人ゲームの純粋戦略ナッシュ均衡の存在条件を得たことである.「リアルオプションゲームの離散時間モデル」を分析するためには,従来の経済理論モデルとの対応性を重視するために,「時間」「状態」「戦略」を離散変数として取り扱うことが重要である.この場合,戦略集合を離散とした場合の均衡の存在条件が未解明である点が大きな障害である.そこで,昨年度に引き続き「有限n人ゲームの純粋戦略ナッシュ均衡の存在条件」についての研究を行った.平成25年度の有限n人ゲーム「対称ゲーム」に続いて,平成26年度は対称とは限らない一般の整数区間を戦略集合とするゲームの純粋戦略ナッシュ均衡の存在条件について研究を進め,1つの十分条件を得ることができた.この結果は,国際学会SING10(第10回スペインイタリアオランダゲーム理論学会),日本オペレーションズ・リサーチ学会関西支部講演会,慶應大学数理経済学セミナーなどで発表された.これらの研究集会での有益なコメントを受け,現在,論文を改訂中である. 2つ目の成果は,「シグナリングを考慮した戦略的投資と参入のモデル」に関する分析を進めたことである.これは,財の需要や生産費用が時間とともに変化する不確実性がある市場において,既存企業の投資を観察することで,新規企業が参入するタイミングを考えるモデルである.従来の戦略的投資の研究では,不確実性はほとんどないか,あったとしても1期間の不確実性であった.本研究では,リアルオプションゲームを応用することで,長期間の不確実性を導入し,新規企業と参入企業の収益性の差や不確実性のボラティティに関する比較静学を行った.成果についての論文は,現在,執筆中である.
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Research Products
(9 results)