2012 Fiscal Year Research-status Report
金融市場における情報開示の頻度と企業合併の影響に関する理論と実験
Project/Area Number |
24530207
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
小林 創 関西大学, 経済学部, 准教授 (10347510)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 経済実験 / 繰り返しゲーム / 情報の不確実性 / 社会的学習 |
Research Abstract |
本年度は実験を実施する計画であったが、連携研究者からの意見もあり、昨年度実施したパイロット実験の結果を検討し、理論と実験結果の乖離がどういうところで起こっているかについて議論を行った。議論の中でその原因の一つとしてあがってきたのが、 被験者が複数得られる情報を蓄積して相手の行動の推測に役立てるということが上手くできていないのではないか、ということであった。そのため、我々は何らかの形で、被験者に繰り返しゲームのプレーについて学習が働くようなデバイスを導入できないか検討した。そこで、先行研究を調べて分かったことは、本研究のような動学的意思決定においては、被験者がなかなか簡単には最適な行動計画を立てられないことが知られていて、それは個人の長期に及ぶ学習でもなかなか習得できず、先にプレーをした他の複数の被験者からアドバイスを受けるという形で、社会的な学習の機会があることが鍵となることが、最適消費の文脈では実験結果として観察されていることが判明した。それゆえ、本年度は拙速に実験を実施してしまうのではなく、上のような考察を加味して、再度実験計画を立て直すことに今年度は専念することになった。 また、計画修正作業と並行して、理論分析も更に一般的な環境でも同様の結果が成立することを証明した。その結果として、より幅広いパラメータ環境での実験実施の可能性を広げた。 上で述べたような二つの修正点について、国際学会の場に赴いて、関連する研究者に直接話し、参考となる意見や関連する研究を聴取した。これらを反映させることで更なる修正を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請の段階では気づけなかった、社会的学習などの様々な視点を発見できたことにより、より豊かな実験結果が得られる可能性が高まったために、実験の設計を修正する必要がでてきたことが大きな原因である。また、理論分析においてはより一般的な結果が得られる可能性をみつけ、それについて証明を行ったことも少し計画が遅れていることと関連している。
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Strategy for Future Research Activity |
実験計画の修正がおおよそ行われたので、次年度大阪大学社会経済研究所にて実験を、本年度できなかった分も含めて実施する予定である。大阪大学社会経済研究所の関係者とも連絡を取りスケジュールを調整している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は実験の実施がメインとなるため、被験者報酬と実験補助者謝金に大きな割合の金額を使用する予定である。その他、関連する研究調査のため、図書も購入予定である。
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