2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530210
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
岡田 敏裕 関西学院大学, 経済学部, 准教授 (50411773)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ニューケインジアンモデル / 内生的技術成長論 / 中期的な経済変動 |
Research Abstract |
本研究では、近年盛んに研究されているニューケインジアンの動学的確率的一般均衡モデルに、研究開発を基礎とした内生的技術成長を組み込みんだ理論モデルを構築し、モデルに基づいた日本経済の短期的および中期的な経済変動の定量的な分析を行うことを目的としている。そこで、2012年度は理論モデルの構築を行った。主な研究実績は以下の2点である。 第1点目の実績は、内生的技術成長モデルの詳細な分析を行ったことである。本研究ではニューケインジアンの動学的確率的一般均衡モデルに、研究開発(R&D)を基礎とした内生的技術成長を組み込むことが重要であるので、まずR&Dを中心とした内生的成長モデルの詳細な分析を行った。具体的には、モデルを構築しR&D労働者と他の労働者の賃金格差等の変動分析を行った。このような分析は今後内生的技術成長をニューケインジアンのモデルに組み込む上で重要である 第2点目の実績としては、単純な内生的技術成長モデルをニューケインジアンのモデルに組み込み、モデルを実際に解法できるかどうかの確認を行った。ニューケインジアンのモデルに内生的技術成長を組み込むと、モデル自体が非常に複雑になる。そのため、ある程度簡素化されたモデルを用い、現実的に妥当なパラメーター値を用いて実際にモデルを解くことができるかを先ず確認する必要がある。分析によると、簡素化されたモデルではあるが、妥当なパラメーター値を用いて解法できることが確認できた。これにより、より精密なモデルであっても、現実的に妥当なパラメーター値のもとでモデルを解法できる可能性を確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ニューケインジアンの動学的確率的一般均衡モデルに、研究開発を基礎とした内生的技術成長を組み込みんだ理論モデルを構築することが先ず必要となる。精密な理論モデルの構築が本研究の大部分を占めるといっても過言ではない。2012年度の研究により、理論モデルの構築と分析に関して、以下の2つの点で顕著な進展があった。 第一に、精密な理論モデルの構築に必要な理論的知識およびスキルを、内生的技術成長論の詳細な分析を行うことで得ることが出来た。例えば、研究開発を基礎とした様々な内生的技術成長のモデルの特徴を詳細に理解でき、各モデルの理論的欠点などもも明確にすることが出来た。 第二に、簡素なモデルを解法する過程で多くのスキルを得ることが出来たため、今後より複雑なモデルを構築・分析するための作業効率が大幅に上昇した。特に、dynareと言われる動学的確率的一般均衡モデルの分析に必要なソフトに精通することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度に先ず行うことは、理論モデルの緻密化である。2012年度は簡素化したモデルを分析したが、近年のマクロ経済学の研究で確立されてきた多くの重要な要素が省かれている。今後はそれらの要素を組み込んでモデルをより緻密化していく。 次に、モデル推計のための構造推計を簡単なモデルで実際に試していく予定である。モデル構築を終えた後には、実際のデータを用いたモデルの推計を行う必要があるが、近年のマクロモデル推計では構造推計(GMMやSMM等)が主流である。そこで、先ずGMMやSMMなどの構造推計を使用し、簡単なモデルを推計する予定である。これにより、近年の最新の推計手法についても詳細に学ぶことができ、より複雑化したモデルを推計する場合に備えることが出来る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内外の研究協力者との打ち合わせを行う必要があるため、主にそのための出張費として使用する予定。なお、繰越額が生じた理由は、スケジュールの都合で国内外の研究協力者との打ち合わせを行うことが出来なかったことと、購入を予定していたパソコンソフトの最新バージョンの発売延期のためによる。
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