2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530210
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
岡田 敏裕 関西学院大学, 経済学部, 准教授 (50411773)
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Keywords | ニューケインジアンモデル / 内生的成長論 / 中期的な経済変動 |
Research Abstract |
本研究では、近年盛んに研究されているニューケインジアンの動学的確率的一般均衡モデルに、研究開発を基礎とした内生的技術成長を組み込みんだ理論モデルを構築し、モデルに基づいた日本経済の短期的および中期的な経済変動の定量的な分析を行うことを目的としている。2013年度は2012年度につづき、主に理論モデルの構築を行った。主な研究実績は以下の2点である。 1つ目は、関西学院大学経済学部研究会、経済学論究第67巻第3号に発表した「期待により生じる景気循環と研究開発」である。この論文はニューケインジアン・モデルに資本調整コストとR&Dを基礎とする内生的技術成長を組み込んだ理論モデルを構築して、期待による景気循環の発生メカニズムを分析したものである。内生的成長をニューケインジアンモデルに組み込んだモデルはこれまでほとんど存在しておらず、これによりニューケインジアンの枠組みの中で、短期だけでなく中期の景気変動を理論的に分析することが可能になった。 2つ目の実績は、9月に青山学院大学で行われた経済学研究会において、海外からの技術伝播を考慮した景気循環の理論モデルの報告を行ったことである。この論文では米国からの技術伝播を考慮した景気循環モデルを構築しており、主に中期的な日本経済の景気変動の要因を分析している。まだ、ワーキングペーパーの段階であるが、研究会参加者から有益なコメントが得られたので、それらを基に現在改訂稿を作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ニューケインジアンの動学的確率的一般均衡モデルに、研究開発を基礎とした内生的技術成長を組み込みんだ理論モデルを構築することが重要になるが、これまでに理論モデルの構築はほぼ完成し、その一部を論文として発表した。 また、本研究では理論モデルの定量的な検証も行う必要があるが、この点に関して必要となる計量経済学のモデル推計(ベイズ推計)についても、その手法の理解も含めて実施可能な段階まで来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度に行うことは、理論モデルの微調整とモデルの構造推計である。近年の景気循環分析の分野では、モデルの政策的なインプリケーション等を知るために、GMM、SMMやベイズ推計などを用いて、モデルの構造推計を行うことが主流となっている。そこで本研究では今後、ベイズ推計を用いてモデルの構造推計を行う。 推計が終わり次第、結果を論文にまとめて国内外の会議やセミナーなどで報告を行いコメント得る予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外の学会やセミナーなどで論文報告等を行う予定であったが、モデルの修正や改良のため研究結果を論文にまとめる作業が行うことができず報告できなかったため。 主な使用目的は2つある。第1に、国内外の会議やセミナーでの論文報告等のための出張費として使用する予定である。第2に、構造推計のためにハイエンドのパソコンがもう1台必要なため、その購入費として使用する予定である。
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