2012 Fiscal Year Research-status Report
コピュラを用いた生存時間データと順序データの分析手法の開発
Project/Area Number |
24530227
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
小林 正人 横浜国立大学, 国際社会科学研究科, 教授 (60170354)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生存分析 / 競合リスクモデル / 仮説検定 / モンテカルロ実験 |
Research Abstract |
競合リスクモデルの定式化テストの通常の生存分析モデルに対する検定に一般的なものについては、解析的な検定統計量の導出、モンテカルロ実験による検出力、水準のチェックも終わり、ほぼ完成にいたった。これは台湾の国立精華大学(2012年9月)、日本統計学会(北海道大学、2012年9月)、関西計量経済学研究会(一橋大学、2013年1月)において学会発表を行い、SSRN(Social Science Research Network)からDiscussion Paperとして公表中である。 しかし、研究発表の過程で、想定する仮説が必要以上に一般的であり、実用に供するにはあまりにも煩雑な手法であるということが問題点としてうかびあがってきた。 そこで、より単純な対立仮説を想定した上で、より単純で使いやすいものに改良することを行っており、2013年前半には学術誌への投稿を予定している。 実証的な応用として考えている格付け評価等の順序モデルについては、データの入手の手続きは終了し、そのデータをもとに多変量の最適化を効率的に行うためのEMアルゴリズムの開発を行っており、第一年目には基礎的な研究ほぼおえている。しかし、ある程度の長さの期間と数千の調査対象という実際のデータをもちいて推定を行うまでには効率性が上昇しておらず、別種の技術の導入が必要と考えられる。現在、もっとも有望と思われるものは、粒子フィルターによる状態空間モデルであり、現在この手法の研究おこなっている。 副産物として、粒子フィルターによる状態空間モデルの仮説検定モデルについて研究テーマが浮かび上がっている。このテーマも十分に期待できるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
生存分析の理論展開については予想通りの進展が見られた。残念ながら、一般的な形の検定統計量は煩雑であり、実用に適しないものであると思われ、より簡潔なものへの改良が必要となり、完成が遅れたものの、2013年度の前半には最終的な論文の完成と発表が得られると思われる。 順序モデルへの生存分析手法の応用については、理論的な研究および実証的な研究ともに予想よりも進行が遅れている。これはGHKシミュレーターなどの従来の数値計算技法がこの問題には非効率的であることによるものであり、日本での研究が盛んな粒子フィルターなどの新しい計算技法の導入により十分解決できると思われる。 理論的な研究の進展の遅れにともない、データ分析についても、データ整理の入手のみが完了し、十分な整理が行われて折らず、発表できるような研究結果が得られるまでには、かなりの作業が必要となる恐れがある。
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Strategy for Future Research Activity |
生存分析の理論的な検定については、最終段階にはいっており、シミュレーションの実施とプレゼンテーションの細かな改良に専念可能と思われる。また、できるだけ高い評価を受ける形での公表、高い評価のある学術誌での公表のためには、海外の国際学会に数多く発表をおこない、どのような定式化ならば実務家や専門家に受け入れ可能であるかを探る事が必要である。 順序モデルへの生存分析手法の応用については、粒子フィルターなどの新しい計算技法の導入により十分解決できると思われる。しかし、粒子フィルターが比較的新しい分野ということもなり、いくつかの解決しなければならない問題がいくつか残っているが、2013年度の前半には理論的な枠組みを作り上げ、年度の後半にはシミュレーションによる推定を行い、2014年度までには学会報告を可能とする程度には完成度を上げたい。データの整理と解析もプログラムの作成に合わせて進行が可能になるように工夫したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
生存分析については、引き続き、海外の国際学会で報告をおこなうために旅費が必要である。また、シミュレーション実験などが追加的に必要となった場合には、高度な能力を持つリサーチアシスタントの雇用が必要である。 順序モデルにたいする粒子フィルターの応用をすすめるため、リーサーチアシスタント経費に重点的に研究費を使用し、効率的なプログラムとアルゴリズムの開発を急ぎたい。また、開発のためのRA貸与用のPCやプログラム言語の購入、学会報告が中心となる。さらにデータの整理のための人件費も必要となる。粒子フィルターの計算効率の上昇をはかるためには、より高性能な計算機の購入が必要となる。また、計算技術の専門家による既存の計算ソフトの購入も必要であり、ソフト購入経費も必要である。 RA候補の一人が事情により雇用できなかったため、研究費の残額が若干発生しており、これは次年度のRAでの雇用に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)