2013 Fiscal Year Research-status Report
コピュラを用いた生存時間データと順序データの分析手法の開発
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24530227
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
小林 正人 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 教授 (60170354)
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Keywords | 生存分析 / 状態空間モデル / 非線形モデル / 粒子フィルター |
Research Abstract |
競合リスクモデル定式化テストの一般的なものについては前年度開発し、すでに学会発表を幾つかおこない、discussion paperとして公開しているが、観測打ち切りへの対応が可能でないなどの問題点があきらかになった。このため、本年度は、モデルの制約を強くするかわりに、統計量の形をより単純にし、打ち切りなどの複雑な状況への対応が可能な検定を開発した。さらに、実際の潜在的生存時間分布が2変量ワイブル分布以外の場合、我々の検定統計量が持つ検出力についても検討を加えた。これら結果についてはすでに、中国数量経済学会(2013年10月)において大学院生の一人が発表を行い、現在、国際的学術誌に投稿準備中である。 これらの問題を時系列相関構造を持つ状態空間モデルに拡張することを計画中である。この問題の統計量計算には多重積分による条件付き期待値計算を必要とし、伝統的な数値計算では精度の低下が甚だしい。このため粒子フィルターの利用が、この方法では考えられる。ただし、粒子フィルターによるsmoothingを用いたFisher情報量、スコアの伝統的な導出方法にはサンプルサイズと同じ回数の繰り返し計算を必要とし、その計算量は莫大(サンプルサイズの自乗)なものとなり、必ずしも実用的なものとはいえない。このため、filteringだけによる条件付き期待値を開発した。同様の方法がすでに数年前に発表されていることが判明したため、この方法は必ずしも世界初の革新的なものとはいえないが、技術的には最新のものであり、生存分析に限定せず、さまざまな非線形モデルに利用できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度開発の一般的な検定は、打ち切りデータなどの重要な状況に対応できるものではなかったため、当初の目的とする応用可能性は達成できなかったが、今回の検定は、モデルの構造には強い制約をおいているものの、実用性は高い。 さらに、粒子フィルターにおいてフィルタリングだけでスコア関数を計算できるアルゴリズムを開発できており、大きな進展が期待できる。 実証分析においては、格付けデータの整理が遅れており、十分な実証分析が行われておらず、申請書において計画した結果は得られておらず、最終年度にその分析を持ち越さざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
生存時間分析については一定の成果をおさめているので、今後は時系列構造を考えた多変量の質的変量モデルの仮説検定やモデル選択問題を考えてく。重要な分析ツールとして、粒子フィルターにおいてフィルタリングだけでスコア関数を計算できるアルゴリズムを開発できたことから、非線形の状態空間モデルの枠組みで時系列構造を考えた質的変量モデルや順序モデルへの拡張が可能である。 これらの問題では計算量と計算時間が問題解決の鍵になるために、並列計算を行うためのハードウェアの導入と行列計算ソフトウエアの導入を考慮する必要がある。近年、パーソナルコンピュータ用 画像処理用演算プロセッサ GPU)に注目し、これを並列計算に用いる試みが行われており、この方法を今回の研究に利用することを考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度に執行不可能であったresearch assistantの研究を本年度に集中的に行ったが、時間的な制約のため、若干の執行積み残しが発生した。 research assistant候補の大学院生のスケジュール管理を綿密におこない、過不足の発生しないように予算とスケジュールの調整をおおなうことを計画している。
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Research Products
(1 results)