2012 Fiscal Year Research-status Report
低成長下における我が国の世帯構造と家計行動ーミクロデータを用いた実証研究
Project/Area Number |
24530231
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
村田 啓子 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 教授 (90526443)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 退職・消費パズル / 恒常所得―ライフサイクル仮説 / 日本 |
Research Abstract |
1.データベース作成作業:農林水産省「農業経営統計(1996年~2003年)」の個票により年次データ及び月次データを統合したパネル・データを新たに構築した。当初受け取った個票には世帯特定に用いる情報(ID変数)に重複等の問題も見られたことから、同省の統計担当者とも情報交換を行いつつデータを整理・精査した上で、原データをもとにパネル・データを作成するプログラムも作成した。 2.実証研究:作成したデータベースを用いて、恒常所得―ライフサイクル仮説の検証の一環として、相当規模程度の予期した所得の変動事例として、退職時における所得低下が消費に及ぼす影響(retirement saving puzzle)についての検証を行った。日本の家計を対象とした退職時における消費・貯蓄変動に関する先行研究としては、Wakabayashi (2008)及びUnayama&Stephan (2012) が存在するが、本研究は、農業経営統計という新たなデータ(退職一時金や資産の情報も含有)を用い、兼業農家に着目することにより数年間に及ぶより長期のパネル・データを用いて行った点に特徴がある。 分析の結果、①Unayama & Stephanと異なり、退職による所得の大幅な減少により消費は減少する、②しかし、その内容はWakabayashi(2008)が強調していた世帯員構成の変化のみでは十分説明できない、という新たな貢献が得られた。 その他研究課題についても、基礎データの確認、文献検索などの準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.24年度は農林水産省「農業経営統計(1996年~2003年)」の個票による、年次データ及び月次データをマッチングしたパネル・データの構築に尽力、作業は当初予定以上に進めることができた。 2.そこで、データベース作成後、さらに25年度に行う予定であった実証分析も行い、セミナー等で途中結果を報告したほか、論文を国際学会で報告した。 3.並行して、その他分析についても来年度における実証研究に向けデータベース作成、文献検索等の準備を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.24年度に作業した退職消費パズルの論文については、退職世帯の選定や推計方法についてさらに精査・改訂をおこなった上で、セミナー、学会等で報告・議論した後学術雑誌に投稿する。 2.その他分析課題については、データ確認作業の後、実証研究作業に移行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実証研究のため、パソコン及び周辺機器などの設備備品、ソフトウエアなど消耗品、関連図書などを購入する。 学会参加のための旅費、研究補助のための人件費などに支出する。 24年度にマイクロデータ分析のためのパソコン購入及び調査・意見交換のための海外出張を予定していたが25年度以降に延期した。
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