2013 Fiscal Year Research-status Report
ストック外部性と戦略的相互依存関係の下での国際貿易に関する理論的研究
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24530240
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柳瀬 明彦 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (10322992)
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Keywords | 公共中間財 / 動学的貿易モデル / 貿易パターン / 貿易利益 / 環境汚染 / 再生可能資源 |
Research Abstract |
本研究は、1. 越境汚染ストックの影響が存在する下での貿易自由化の短期的・長期的効果、2. 公共中間財のストック外部性が存在する下での大国間の貿易および国際援助の効果、3. 再生可能な天然資源の利用と戦略的貿易・資源管理政策、という3つのサブテーマ について新たな理論的知見および政策的含意を導くことを通じて、資源・環境問題やインフラ整備のような、ストックとしての外部効果の存在する経済における、経済主体間の戦略的関係が存在する下での国際貿易と外部性ストックとの相互関係を理論的に検討するものである。今年度は各サブテーマに関して、以下の研究成果が得られた。 サブテーマ1については、環境汚染を伴う開放経済の動学的一般均衡モデルを分析し、動学均衡経路の不決定性が生じうることを示し、また環境政策の貿易パターンへの影響に関する「汚染逃避地仮説」の成立可能性について、均衡経路の動学的性質との関連から検討した。分析結果を論文としてまとめ、国際学術誌に掲載が決定した。また、越境的外部性が存在する世界経済におけるパレート最適な課税システムについて理論的に検討し、海外のワークショップで報告した。 サブテーマ2については、各国においてストックとしての生産性効果を持つ公共財が存在する2国から成る動学的貿易モデルを構築し、貿易パターンの決定要因や貿易が各国の厚生水準に与える影響を検討した。この研究は、国内外の学会等で報告した。 サブテーマ3については、再生可能資源がオープンアクセスによる資源の過剰採取のみならず環境汚染によっても影響を受ける状況における、社会的に最適な生産と生産要素の完全雇用との両立可能性について検討し、海外のワークショップで報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」欄で述べたように、本研究課題の3つのサブテーマのそれぞれについて、単純な設定の下であるが基本モデルを構築し分析を行い、研究成果の発表や論文の投稿を行った。特にサブテーマ2については、本研究課題の目標とする内容はほぼ完遂できた。残るサブテーマについても、次年度以降にこれら基本モデルを(特に2国モデルに)拡張し、研究の発展を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
主にサブテーマ1と3について、今までの研究において解明された点と今後の課題としている点との区別を明らかにする。また、既存の研究及び関連する研究の整理と再検討も行い、新たなリサーチトピックの所在を明らかにし、モデル分析を進める。研究成果を論文にまとめ、学会発表やディスカッションペーパーの形での発表を行う。 既に研究会や国内外の学会で報告しコメントを得た研究成果に関しては、コメントを参考に論文の改訂に努め、早期に論文を国際学術誌に投稿する。学術誌に投稿後、修正および再投稿を求められた論文は、最終的な掲載を目指して論文の改訂を早期に行う。論文の再投稿の際、ネイティブスピーカーによる論文の英文校正を依頼する。 自分の論文作成と並行して、関連分野において優れた業績をあげている研究者を招聘し、研究セミナーを開催する。招聘研究者およびセミナー参加者との意見交換を通じて、研究の方向性・発展性について多面的に検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は本研究課題の最終年度であるため、可能な限り多くの論文を学術誌に投稿することを考えている。それに伴い、論文の英文校閲および論文投稿料の支払いにより多くの支出が必要になることが予想される。 また、次年度において参加する予定の学会には、北米やヨーロッパなど旅費が多額となる地域が含まれている。 以上のことから、今年度の支出の一部を次年度の使用額のために配分する必要があると判断した。 関連研究の整理および再検討のため、本研究に関連の深い経済理論および応用経済学(国際・環境・公共)の文献資料を購入する、あるいは文献複写サービスを利用する。資料整理に際しては、必要に応じて、研究補助のアルバイトを雇用する。 研究成果の発表や資料収集のため、国内出張や海外出張を行い、国内外の学会や研究会に参加する。また、必要に応じて研究テーマに関連した実態調査も行う。学術誌に論文を投稿する際、英文の完成度を高めるために、信頼できる英文校閲の専門家あるいは専門業者にネイティブチェックを依頼する。 研究セミナーの開催に際しては、招聘研究者に対して旅費および謝金の支払いを行う。
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Research Products
(6 results)