2012 Fiscal Year Research-status Report
環境政策と立地の政治経済学:内生的な迷惑施設・住宅立地と所得分布
Project/Area Number |
24530245
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中田 実 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (50372545)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 環境政策 / 所得分配 / 政治経済学 / 迷惑施設 / 立地問題 |
Research Abstract |
迷惑施設と所得水準の異なる住宅の立地問題に関するモデル分析を構築、改善を進めた。郊外に廃棄物処理場や核廃棄物の処理施設など環境損害をもたらす施設が存在し、かつその施設から空気や水の汚染が発生している場合に、所得の異なる住民がどのように住宅の立地選択をするか、という分析モデルの現実妥当性を問うため、シミュレーション分析を行った。その結果、輸送費用が省略化されているなどの課題があるものの、おおむね分析枠組みの妥当性が評価された。 次に、立地の内生化を進めるため、既存研究の分析を行った。 最後に、負の外部性を発生する迷惑施設の立地問題に関して、ミクロ的基礎付け基づき立地を内生化した、一般均衡モデル構築を開始した。 具体的には、まず、負の外部性を持つ迷惑施設を導入、施設の立地を内生的に決定、その際重要なポイントは、計算の複雑化が予想されるため、線状の都市を仮定するなど、輸送費用の明示化、迷惑施設の立地決定以外の部分を出来るだけ単純化している。計算の複雑さを押さえてモデルの検証可能性を高める意味でも重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎的なモデル分析を構築、改善を進めたこと。次に、立地の内生化を進めるため、既存研究の分析を終了したこと。最後に、負の外部性を発生する迷惑施設の立地問題に関して、ミクロ的基礎付け基づき立地を内生化した、一般均衡モデル構築を開始していること。構築の際には、モデルの検証可能性を念頭に置いたモデル構成を目指しており、理論分析だけでなく、シミュレーション分析による現実妥当性を念頭に置いたモデル枠組みを提示できていること。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度では、まず今年度構築を開始した静学モデルを完成させることが目標となる。この静学モデルを用いて、所得の異なる階層の住宅立地がどのようになるか、一般均衡モデルを構築し、定性分析を行う。次に、数理モデルの現実妥当性を検証するため、シミュレーションによる定量的分析を行う。データと時間の制約上特に日本と米国に対象を絞って分析を試みることにしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
モデルの設定とシミュレーション作業は計算処理に相応の計算力を必要とするため、ワークステーションを入手する。構築された理論モデルの妥当性について、未来資源研究所、世界資源研究所など海外のエネルギー・環境関連の研究者の方々と議論し、より現実的なモデル設定を目指す。そのため海外出張旅費が必要となる。 シミュレーションには、計量・シミュレーションソフト (GAUSS12) とその拡張ソフトウェアを利用する。また、環境・経済・エネルギー関連のデータが必要となる。 シミュレーションを行う際には、一次データを利用すると費用・時間が掛かるので、日本エネルギー経済研究所、電力中央研究所など、関連する研究機関にデータの提供をお願いする。その際、旅費や研究協力費等が必要となってくる。また、関連論文サーベイやデータ処理の効率化を促進するため、研究補助1人を利用する。
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