2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24530248
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松島 法明 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (80334879)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 敏弘 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (70263324)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 技術投資 / 寡占市場 / 競争政策 / 垂直取引 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度同様、研究計画に従い、生産技術や技術投資に関連する研究を進めてきた。その中からいくつか紹介する。 9月に公刊された論文では、Matsumura and Matsushima (2012)における航空輸送の設定を二国間で相互に貿易が行われる国際寡占市場における海運輸送に応用し、港湾民営化と港湾業務改善投資の関係について分析した。貿易自由化等により国間の輸送環境が改善(輸送費用が低下)することで港湾の民営化が起こりやすくなることを明らかにした。また国の市場規模が小さいほど民営化が起こりやすく、民営化された港湾と公営の港湾が共存する市場環境では民営化された港湾の方が業務改善努力の誘因が強いことも明らかにした。 10月に公刊された論文では、複数の川下企業と取引可能な川上企業が存在する状況を考え、川上企業による取引範囲決定要因を分析し、この基本設定を拡張して、川上企業による技術投資の誘因と取引範囲との関係を分析した。川上企業の平均可変費用が逓減する状況では、狭い取引範囲を設定する方が川上企業にとって望ましい経済環境が存在することを明らかにした。また、技術投資の水準についても、狭い取引範囲を設定しているときの方が高くなる可能性があることも明らかにした。 他、昨年度Discussion Paper(以下、DP)にした、寡占市場における不当廉売規制の経済厚生へ与える効果について分析した論文(ISER DP-875)が国際査読誌に受理・公刊された。また、現存川上企業による排他条件取引が生じる経済環境を、複数の補完財投入物が存在することに着目して分析した論文を学会等で報告し、DPとして公表した(ISER DP-918)。他、川下企業に外部調達機会が存在する場合、川上企業間で自発的な技術漏出の誘因が存在する可能性があることを示した論文を学会報告した。
|