2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530250
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
金京 拓司 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (50527637)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 為替レート政策 / アジア金融協力 / 資源価格変動 / 資本流入管理 |
Research Abstract |
本研究の主な目的は、①アジアの新興市場国を主な対象として、資源価格や資本流入の著しい変動が為替レート政策やマクロ経済バランスに及ぼす影響の実証的分析、②マクロ経済安定や持続的な経済成長を確保する観点から、為替レート政策や資本流入管理のあり方についての政策提言、③ASEAN+3の金融協力の枠組みを為替レート政策や資本流入管理の相互監視・協調に拡大する可能性についての検討の3つである。 本年度は、①に関連して、東アジアにおける証券市場統合の進展について定量的に把握するため、多変量GARCHモデルを用いて、債券・株式収益率の条件付き相関係数を推定。アジアの債券市場については、香港・シンガポールを例外としてグローバル市場との統合が進んでおらず、域内で分断された状態にある一方、株式市場は相対的にグローバル市場との統合が進んでおり、域内でも株価収益率の連動が強まっていること、ただし中国は、対外的な市場統合が遅れていることなどが示された。 また、東アジアにおけるグローバル経済との連動やマクロバランスの改善に関する共同研究の成果を英文研究書(共編著)として刊行。この中で、中国の実質為替レートの決定要因について共和分を用いた分析を行い、生産性や対外純資産等の影響を明らかにした。この分析結果を踏まえ、中国のマクロバランス改善の必要性について分析を行い、その成果をインドのICRIER(シンクタンク)が主催した国際コンファレンスで報告。本コンファレンスでの報告は、コンファレンス・ボリュームとして刊行予定。 さらに、③に関連して、シンガポールにあるASEAN+3 Macroeconomic Research Officeを訪問し、ASEAN+3の金融協力の現状と課題について、聞き取り調査を行った。その調査結果は、次年度に刊行を予定している英文研究書(共編著)に含まれる論文に反映される予定。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の理由により、研究計画に従って、研究目的の達成がおおむね順調に進展していると考えられる。すなわち、①主な研究目的に関連した実証分析を行い、論文を刊行していること、②研究成果の一部を国際コンファレンスで報告し、論文として刊行される予定であること、③海外現地調査を行い、その成果が次年度以降の研究成果に反映される見込みであること。
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Strategy for Future Research Activity |
第2年度以降も引き続き、研究計画に従って、資源価格や資本流入の著しい変動が為替レート政策やマクロ経済バランスに及ぼす影響の実証的分析を行っていくとともに、為替レート政策や資本流入管理のあり方やASEAN+3の金融協力の枠組みの改善についての検討を行っていく。そのため必要なデータベースの購入や海外現地調査の実施を中心に研究費の支出を行う計画である。現地調査については、初年度より対象国の数を増やす予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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