2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530251
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
馬 岩 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (10403221)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究はアメリカと日本との経済成長のエンジンおよびそれと関連する貿易パターンの相違を念頭に置いて、人的資本の視点からその相違の原因およびその形成要因を理論的に解明することを目的とする。そのために、平成24年度において、人的資本の分布と経済成長を結ぶ閉鎖経済の動学的一般均衡モデルを構築し、それに基づき、人的資本の分布が一国の経済の成長にどのような影響を与えるのかを分析した。 まず、研究開発と経済成長に関する既存文献をサーベイし、国内外の学会の参加を通じて、経済成長に関する最新の研究およびその動態を調査した。調査の結果としては、人的資本の視点から先進国の経済成長のエンジンの相違を解明する点において有意義であることが分かる。 次に、サーベイと調査の結果に踏まえて、研究協力者であるEric W. Bond教授と議論した上で、人的資本の分布と経済成長を結ぶ閉鎖経済の動学的一般均衡モデルを構築した。モデルを構築した時に、Bond,Wang and Yip (1996)、研究代表者の「オフショアリングが研究開発と技術革新に与える影響に関する理論的研究」および他の研究を参考にした。異なる研究開発のアプローチが経済成長に与える影響を同時に分析できるモデルとしては独創である。 さらに、構築したモデルに対して理論の分析を行った。構築したモデルにおける定常状態の均衡を求めたときに、多数の均衡が存在するという結果が出てきた。それについて、研究協力者とモデルのシミュレーションを行い、議論したことにより、唯一の均衡を存在させるパラメーターの範囲を見つけた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)研究代表者は24年度の4月から7月末までに研究協力者の大学(ヴァンダービルト大学)において、集中的に研究を行った。その間、既存文献のサーベイ、研究調査およびモデルの構築を行った。 2)24年度の10月に研究協力者を日本に招いた。その時、多数の均衡が出てきて、研究がうまく進まなかった。研究協調者と一緒にモデルに関するシミュレーションを行い、その結果に基づき議論することにより、解決の方法を見つけた。
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Strategy for Future Research Activity |
ステップ1:上述の閉鎖経済の一般均衡モデルに基づき、人的資本の分布が貿易のパターンに与える影響を考察できる開放経済の動学的一般均衡理論モデルを構築する。研究方法:研究協力者のEric W. Bond教授の論文Bond, Trask, and Wang (2003)を参考にして、上述の閉鎖経済の一般均衡モデルを 開放経済の動学的一般均衡理論モデルに拡張する。 ステップ2:開放経済の動学的一般均衡理論モデルに対して理論分析を行う。 研究方法:①異なる人的資本の分布を持つ2国の定常状態均衡を求めて、それらを比較することにより、貿易パターンを分析する。研究代表者は先に理論分析を行い、研究協力者はその結果を確認する。②内外の学会に参加することにより、経済学者と経済成長に関する研究について深い交流を行う。当初計画どおりに進まない場合の対応方法:①シミュレーションを行い、どこから問題が出るのかを見つける。②具体的な分布関数を用いて、問題を解決することを試みる。③既存の理論文献から解決の方法を探す。この場合には、研究協力者に面談する必要があるので、研究協力者を1か2週間日本に招く、あるいは、研究代表者は1か2間アメリカに行き、問題を解決する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)研究についての相談や問題を解決するために、研究協力者を1か2週間日本に招く、あるいは、研究代表者は1か2間アメリカに行き、問題を解決するための研究費が必要である。 2)研究者の学会に参加することにより、国内外研究者との交流するために、研究費が必要である。 3)パソコン、ソフトウェアの更新など研究費が必要である。
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