2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530253
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岸田 研作 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (30346407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷垣 靜子 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (80263143)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 社会的入院 / 医療経済学 |
Research Abstract |
社会的入院とは、医療の必要性が低いにも関わらず、介護施設や家族の介護力の不足などにより、退院できず入院を継続することである。社会的入院は、医療資源の無駄遣いを生じさせる。本研究の目的は、先行研究よりも代表性が高く、より適切に社会的入院を把握したデータを用いることで、社会的入院の解消に必要な介護施設の整備量を明らかにすることである。また、社会的入院の解消により、医療費と介護費の合計が、どれだけ削減されるか明らかにする。 社会的入院の費用削減効果を、社会的入院患者の医療費と社会的入院患者が介護施設等に移った場合の介護費用の差額とする。試算にあたっては、退院後の受け皿となる介護サービスの提供に必要な人員を確保する費用の算出が不可欠である。介護の仕事は3Kとみなされ、慢性的な人手不足が続いている。そのため、必要な介護労働者を確保するには、労働条件の改善が必要である。そこで、本研究では、必要な介護労働者を確保するのに要する費用を算出するため、相対賃金が介護労働者の充足率や有効求人倍率に与える影響を推定した。相対賃金とは、介護労働者とそれ以外の労働者の賃金の格差である。データは賃金構造基本調査の個票を用いた。 介護関係職種の充足率を従属変数、相対賃金を説明変数とする回帰分析を行った。理論的には、相対賃金が高くなるほど、介護関係職種の充足率は高くなる。相対賃金が充足率に及ぼす影響は、定式化及び年度によって大きく異なり、頑健な結果が得られなかった。予想外の結果が得られた理由を調べるため、年度間の相対賃金の相関係数や散布図を作成した。それによると、相対賃金を構成する2つの要素のうち、介護関係職種以外の賃金の都道府県別の予測値は、定式化によらず年度間で高い相関係数を示した。しかし、介護関係職種の都道府県別の予測値は、年度間の相関係数が低かった。これが推定結果の頑健性の欠如の要因と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
賃金構造基本調査を用いた分析に予想外に時間がかかり、患者調査を用いた分析を行う時間が確保できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に引き続き、論文作成を行う。本研究では、指定統計(『患者調査』、『社会医療行為別調査』)の個票を用いる。指定統計の個票は、利用期間が限られている。そのため、できるだけ多くの学会・研究会で成果を発表することで、利用期間内に推計を終了するのに必要な知見を得る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学会発表、書籍、パソコンなど。必要に応じて社会調査も行う。
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