2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530254
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
野崎 祐子 広島大学, 社会(科)学研究科, 助教 (60452611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 克己 広島大学, 社会(科)学研究科, 教授 (80243145)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 多国間 / 国際情報交換 アメリカ |
Research Abstract |
(1)子どもの教育格差・貧困に関する研究 ①ワークショップ参加・データ分析(2012年6月):LIS(ルクセンブルグ所得研究)ワークショップ。貧困・格差の国際比較を行った。②セミナー参加・討議(2013年3月) コロンビア大学 Applied Microeconomicsセミナー。学校選択と大学進学率に関する研究。SocialWork、FILM SCREENING。アメリカの育児・母親就業の世代間比較。 (2)21世紀出生児縦断調査データ分析をもとにした論文作成・学会報告(2013年3月):MEA(アメリカ中西部経済学会)にて"Child poverty, Single Mothers and Quality of Chil-d care in Japan" を報告。Phisical and Emothional Well-being セッションで討論者を担当、子どもの発達に関する討議を行った。Economics of FamilyセッションではD.Blau教授と研 究動向や日米比較に関する意見交換を行った。 (3)就学前教育・保育の質に関するアンケート調査(2012年度通年):調査実施に向け2012年中は広島市保育園連盟、全国私立保育園連盟、広島市・東広島市役所において、保育の質に関する研究動向・意義についての報告、意見交換を行った。さらに2013年1月、 保育・就学前の質に関するワークショップを開催し、保育学(秋田教授)、発達心理学(松井教授)からの見解・情報を得た。最終的な調査項目は予備調査を行う広島大学附属幼稚園(東広島市・三原市)広島大学保育園(東広島市・広島市)園長、主任保育士らからの意見やアドバイスを得て作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は就学前教育の質を包括的に検討し子どもの教育格の差縮小に向けた政策インプリケーションを導くことにある。初年度は基礎となる保育・就学前教育の質について検討し、それに基づいたアンケート調査を中心に行った。(1)質をどう定義するか(達成):今年度はまず保育学発達心理学教育学の専門家からそれぞれの分野の研究動向と本研究に対する見解を仰ぎ、定量分析において留意すべき点など践的な助言を得て調査項目を設定した。(2)質をどう評価するか(達成):アメリカでは豊富な個人情報を網羅したデータをもとに研究の蓄積が進んでいる。しかし日本においては本研究が求める情報を網羅したデータは現在のところ存在しない。今年度は代替的に日本で入手可能なデータの項目をアメリカでの先行研究に従って変換し予備的な分析を行った。その結果、乳児期においては母親との密接な関わりが学童期においては父親の育児参加が児童の問題行動発生確率を有意に低下させるなど示唆に富む結果が得られた。この分析は学会発表し、ジャーナル投稿に向け修正中である。(3)アンケート予備調査 (ほぼ達成):(1)で行った調査項目の検討をもとに予備的なアンケート調査を需要者保護者供給者保育園幼稚園責任者の両面から実施した。3月配布回収集計済みである。(4)子どもの教育格差に関する検討 (継続中):LISデータをもとに貧困と格差に関する国際比較を行った。ただし LISには日本のデータが含まれていないため、今後日本を含めたデータを用いて追加分析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)アンケート調査の実施(5~7月):2012年度に実施した予備調査結果をまとめ、報告会を行う。報告会での議論ならびにアメリカ学会・セミナーで得た知見を加えて調査項目を修正する。アンケート調査の実施が確定しているのは現在のところ東広島市内の公私立保育園・幼稚園だが、全国的な組織にも打診中である。 (2)アンケート調査結果のデータベース作成と分析(7~9月):結果はRAが入力し、データベースを作成する。結果の概要はレポートとしてまとめ調査協力者に配布する。研究分担者の協力を得て分析を行い、学会報告論文として 完成を目指す。(EEA,日本経済学会等国内外の学会を予定) (3)子どもの教育格差に関する研究(通年):2012年度未完成分の論文を完成、LISディスカッション・ペーパーへの投稿を予定している。(4)労働の「質」に関する研究(10月~):本研究では、保育・就学前教育の「質」を①子どもの発達ならびに②保育・幼児教育従事者の「質」の両面から検討する。本年度はアンケート調査で得られた情報をもとに②についての検証を行う。論文は研究会での討議を経たうえで学会報告を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)調査報告書の作成・報告会・研究会の実施費用(国内・計4-5回を予定):報告書作成費用・会場費用・講師への謝金・交通費など。2013年度は広島大学附属幼稚園、教育学部からも研究協力が得られる予定である。 (2)データ入力:リサーチアシスタントにかかる謝金。 (3)アンケート調査依頼・実施に係る国内交通費: 東広島市での調査は確定しているが、前年度に続き、自治体、組織、団体に調査を依頼する。 (4)英語論文作成に伴う校生費用: 日本の教育レベルの高さには、高い関心が寄せられている。調査結果、論文は全て英語に訳し広く公開する。 (5)学会報告・研究会報告(国内1回、国外2回を予定10月以降):これまで構築してきたネットワークを活かし、研究成果は広く国外に向けても発信する。(6)コンピューターの購入:現在使用しているものは、メモリ増設、インターフェイスカード追加などで対応しているが老朽化している。2013年度はデスクトップ、あるいは高性能コンピューター購入により作業の効率化を図る。
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Research Products
(2 results)